北海道美幌町・網走市

感動の瞬間に行ってみた!美幌峠の朝焼け編

2022.03.29

『峠の朝焼けと美幌・網走の新たな魅力を発見する旅』

そのとき、その瞬間でなければ決して出会えない日本の絶景を紹介する「感動の瞬間」シリーズ。この記事では、日常や普段の旅行ではなかなか見ることのできない感動スポットに、ふるさとLOVERSナビゲーターが旅人となって訪問。その土地に旅がしたくなる周辺情報と一緒に、みなさまをご案内します。今回の感動の瞬間は、北海道美幌町の「美幌峠の朝焼け」がテーマです。

おすすめモデルコース

「感動の瞬間 ×美幌峠の朝焼け」

「感動の瞬間」公式サイトより
「感動の瞬間」公式サイトより

早朝のわずかな時間にだけ見られる絶景が、北海道網走郡美幌町の美幌峠(びほろとうげ)にはあります。日本最大のカルデラ湖(火山湖)を紅に染める朝焼けです。そんな「朝焼け」を見るために、ふるさとLOVERSナビゲーターの桑原が、早朝の美幌峠から旅を始めました。美幌町と網走市周辺のおすすめ情報、穴場グルメスポットも必見です!

1日目

  6:00 日本最大のカルデラ湖を染める、美幌峠の朝焼け

阿寒摩周国立公園内に位置し、美幌町(びほろちょう)と弟子屈町(てしかがちょう)の町境にある標高525mの美幌峠。国道243号沿いにある美幌峠の展望台からは、日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖(くっしゃろこ)を見下ろせ、今も噴煙をあげ続ける硫黄山や世界自然遺産の知床の山々、遠くには北海道の屋根とも呼ばれる大雪山の頂の連なりといった360°の大パノラマ風景が見られます。美幌峠からの眺めは「天下の絶景」とも称され、年間約60万人が訪れる北海道屈指の観光名所です。

美幌峠からの風景は四季折々にさまざまな表情へと変化し、いつ訪れても絶景を見せてくれますが、特におすすめしたいのが早朝の朝焼け。屈斜路湖と外輪山を紅に染めていく朝焼けは、早起きしても見る価値のある絶景です。

美幌峠の朝のマジックタイムは日の出の約30分前から始まります。夜と朝の境目の時間に、外輪山の向こうが紅く染まりはじめました。

屈斜路湖の向こうに浮かぶ雲のふちが次第にピンク色に染まっていきます。日の出の予兆です。

やがて、朝日が外輪山の向こうから見え始め、展望台の周辺が少し明るくなってきました。この日は冷え込む晩秋の早朝だったのにも関わらず、多くの人が美幌峠を訪れていて、神々しいまでの朝焼けに魅了されていました。

さらに太陽は登り、屈斜路湖の湖面をオレンジ色に染めていきます。大パノラマの風景の色彩を秒ごとに変えていく美幌峠の朝焼けは、晩秋の寒さを忘れさせるほどの絶景でした。

朝日が、昭和の歌姫・美空ひばりが1986(昭和61)年にリリースした「美幌峠」の歌碑を照らし出していました。展望台の近くにある歌碑を見るために、美幌峠を訪れる熱心なひばりファンが今でも多くいるそうです。

峠の展望台に併設する「ぐるっとパノラマ美幌峠」は、北海道の中でも屈指のロケーションに建つ道の駅で、地元産のジャガイモをまるごと使った「あげいも」が名物のひとつ。残念ながら、早朝のため食べられませんでしたが、おすすめの名物グルメです。

朝日が昇りきったので、峠を下って美幌町の市街地を目指しました。美幌町役場の経済部商工観光課主事の前田修汰(まえだしゅうた)さんに、美幌峠の魅力について教えてもらいました。

「美幌峠は朝焼けはもちろんのこと、初夏から秋にかけて発生しやすい幻想的な雲海も見ものです。晴れた日の夜、峠から見上げる満天の星空もすごくきれいですよ。美幌峠は道東屈指の初日の出スポットとしても有名で、コロナ禍以前に開催していた元旦の『初日の出フェスティバル』には、毎年多くの人が集まりました。コロナ終息後には、このイベントを復活させたいですね」

施設情報はこちら

施設名

道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」

住所

北海道網走郡美幌町古梅

電話番号

0152-75-0700

営業時間

9:00~18:00(11〜4月下旬は9:00〜17:00)  ※屋外の展望台、駐車場、別棟のトイレは終日開放

定休日

年末年始(12/31~1/3)

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  11:00 驚きの大きさとうまさ!点香苑の豚まん

美幌町にはぜひ立ち寄ってみたいお店があります。それが、国道39号沿いにある「点香苑」(てんこうえん)。地元の人にはよく知られているお持ち帰り専門の中華料理店で、豚まんと鶏肉まんが人気です。

開店直後の「点香苑」を訪れて、テイクアウトしたのは豚まん。何といっても驚きなのはその大きさで、計ってみると直径が約12cm、重さはなんと約370g!コンビニなどで売っている肉まんと比べると、3~4倍のボリュームがありそうです。

そして、柔らかな皮の中にはアツアツの餡がぎっしり。見た目の迫力に圧倒されながらひと口食べてみると、豚肉のうまみと玉ねぎの甘みが口いっぱいに広がりました。ボリュームは満点ですが、さっぱりとした味付けなので、あっという間に完食!豚まんを一個食べただけなのに、かなりの満腹感があって、美幌町での充実の点心ランチになりました。

「豚まんと鶏肉まんを合わせて平日は500個、土日は700から800個くらいを作っています」と店主の加藤亨司(かとうこうじ)さん。朝早くから仕込みを始め、当日に売る分だけを製造。売り切れたら閉店という営業スタイルなので「休日などは開店直後から行列ができますから、できるだけ早めにお店へお越しください」とのこと。

「豚まんの製法や素材へのこだわりは?」と質問すると「大きさ以外は、特にこだわりはないですよ」と笑う加藤さん。でも、素材について詳しく聞いてみると、北海道産の豚肉、隣町の北見市の玉ねぎ、網走市の倉繁醸造のお醤油を用いているそう。食べ応え十分で美味な豚まんの秘密は、食の宝庫・北海道の食材にもあるのですね。

施設情報はこちら

施設名

点香苑

住所

北海道網走郡美幌町鳥里4丁目5−1

電話番号

0152-73-5644

営業時間

11:00~完売まで

定休日

月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日に休業)

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  15:00 北天の丘あばしり湖鶴雅リゾートで、時空を超える一夜を

大きな豚まんで満腹になった後は、今夜の宿へと向かいます。網走市呼人(よびと)地区の小高い丘に建つ「北天の丘 あばしり湖 鶴雅リゾート」は、「古代オホーツク浪漫の旅へ」をデザインコンセプトとしたリゾートホテルです。

眼下に広大な大地と網走湖が広がるホテルの中に入ると、そこは斬新なスタイルのリゾート空間でした。館内では、かつて網走周辺で自然と共生しながら、独自の文化を創りあげていたオホーツク人の文化や歴史を室内装飾や彫刻など、さまざまな形で発信しています。

精緻な木彫り作品に囲まれた1階にあるメインラウンジ「回」は、そんなオホーツク人の竪穴住居をモチーフにした幻想的な空間。ラウンジの中央にある暖炉でゆらゆらと燃え上がる炎が、木彫のオオワシの影を土壁やバーカウンターへ映し出します。くつろいだ気分で炎を眺めていると、幻の民とも呼ばれるオホーツク人の足音が聴こえてきそう。

夕食の前には、フロントでおすすめしてもらった網走湖の夕日を見に行きました。早朝、美幌峠の朝焼けで始まった旅の一日は、網走湖の向こうに沈む大きな夕日を見つめながらフィナーレを迎えました。

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施設名

北天の丘 あばしり湖鶴雅リゾート

住所

北海道網走市呼人159番地

電話番号

0152-48-3211

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

2日目

  9:00 網走で幸運の守り神「二ポポ」を探す

「北天の丘 あばしり湖 鶴雅リゾート」に宿泊して、歴史ロマンに対する気持ちを刺激されたので、翌日は朝から網走の街中でアイヌの人々の守り神を伝承した「二ポポ」を探します。「二ポポ」は「樺太アイヌ」(樺太に先住したアイヌ民族)の人々の言葉で「小さな木の子ども」という意味。アイヌの人々は小さな木彫りの人形を作り、それを身につけているとさまざまな幸せをもたらしてくれると信じていたそう。そんな「幸運のお守り」を再現した、網走の独自の民芸品が「二ポポ」です。

古来から現在に至るまで「幸運のお守り」として大切にされてきた「二ポポ」を象徴するかのように、網走の市街地には多くの「二ポポ」が点在しています。それらを探して網走を散策してみると、中央商店街にある西三プラザで大きな「二ポポ」を見つけました。

二ポポ探しの途中で訪ねたのが、JR網走駅から車で5分ほどの場所にある「本田菓子舗」。創業以来80年に渡って地元の人々に愛されてきた老舗の菓子店では、網走の銘菓「二ポポもなか」が購入できます。

その名の通り「二ポポ」の形をしたかわいい姿のもなかの中には、しっとりとした上品な甘さの粒あんがたっぷりと入っています。

「20年ほど前から『二ポポもなか』を作っていますが、地元産の小豆から作る粒あんは、甘さをなじませるために、2日間かけてじっくりと煮て作っています」と話す本田俊之(ほんだとしゆき)さんは、本田菓子舗の三代目店主。もなかの食感を大切にしたいので、近日中に売れる分だけを作り、店頭に並べているそうです。

本田菓子舗は地元の人が「シュークリームなら、本田さん」と太鼓判を押すほどの洋菓子の名店。「私の代になってから和菓子だけではなく、ケーキやシュークリームなどもお店に置くようになりましたが、創業以来作り続けている和菓子の伝統も守り続けたい。中でも『二ポポもなか』には愛着があります」という本田さんが、丹念に作り上げている『二ポポもなか』を網走のおみやげにしては、いかがでしょう。何かいいことがあるかもしれませんよ。

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施設名

本田菓子舗

住所

北海道網走市北5条西1丁目1−5

電話番号

0152-43-2531

営業時間

9:00~18:00

定休日

年中無休(元旦のみ休業)

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  12:30 冬のオホーツクを満喫する半日ツアー

美幌と網走の旅の最後に訪ねたのが「オホーツク自然堂」です。代表の梅林弘道(うめばやしひろみち)さんは大阪出身ですが、オホーツク周辺の大自然に魅せられて、網走へと移住。2006年に「オホーツク自然堂」を開業した網走周辺や知床の自然についての知識が、とても豊富なネイチャーガイドです。そんな北の大自然のエキスパートが案内する真冬のツアーは、大人気のアクティビティになっています。

冬のガイドツアーの中でも、好評なのが「網走・冬の半日ツアー」。お昼過ぎに出発するツアーでは、まず国の天然記念物である希少な猛禽類のオオワシとオジロワシを探して、バードウォッチングします。「オオワシとオジロワシは、シベリアやカムチャッカ半島からやってくる渡り鳥です。翼を広げると2メートルを超える姿は神々しいまでに美しく、時間を忘れて見惚れてしまうほどですよ」と話す梅林さん。長年のガイド経験から、その生態や網走周辺での生息場所を把握しているので、ツアーに参加すれば、オオワシやオジロワシにかなりの確率で出会うことができるそうです。

提供 オホーツク自然堂
提供 オホーツク自然堂

オオワシとオジロワシの姿に見惚れた後は、全面結氷した白銀の網走湖へと向かいます。ここで体験できるのはワカサギの氷上フィッシングです。冬の網走湖は魚影が濃くて大漁が期待できることから、ワカサギ釣りの聖地と呼ばれるほど。氷に穴を開けるところからワカサギ釣りを体験できます。

そして、釣り上げたワカサギは、その場で天ぷらに。氷の上で食べるアツアツでホクホクのワカサギの天ぷらは、寒さも忘れさせてくれるほどに美味。「防寒着と防寒靴のレンタル(有料)もありますから、手ぶらでお越しになっても冬の網走を満喫していただけます。流氷の来る網走には、ここにしかない大自然の中での遊び方があります。ぜひ一緒に真冬の網走を楽しみましょう」

施設情報はこちら

施設名

オホーツク自然堂

住所

北海道網走市中園267−14

電話番号

0152-46-2777

営業時間

網走・冬の半日ツアーは1月中旬から3月中旬まで実施(所用時間は約4時間)            ※上記の実施期間は網走湖の凍結状況によって変更あり

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

1920(大正9)年に開通した美幌峠は、100年以上に渡って人々に感動的な光景を見せ続けてきました。今回は紅に染まる朝焼けと出会うことができましたが、次は訪れる時期や時間を変えて、雲海や星空、雪景色などの美幌峠の絶景を見てみたいです。
美幌町や網走市には今回はご紹介できなかった見どころが、まだたくさんあります。あなただけの絶景や旬の味覚を求めて、この地を旅してみませんか。

地域ナビゲーター

桑原 雅彦

北海道支部 フリーライター・編集者
桑原 雅彦

フリーライター、エディター。大学生の時にバイクツーリングで訪れた北の大地に魅せられ、1994年、生まれ育った大阪市から北海道網走市に移住。道内各市町村の観光パンフレットや町勢要覧など、印刷物の制作を主に担当。生産者の方々の熱い想いや、商品の背景にあるストーリーの数々をお伝えしていきたいです。