長野県池田町・大町市

感動の瞬間に行ってみた!七色大カエデ編

2022.12.29

『長野県北アルプスエリア。秋の恵みを知る旅』

そのとき、その瞬間でなければ決して出会えない日本の絶景を紹介する「感動の瞬間」シリーズ。この記事では、日常や普段の旅行ではなかなか見ることのできない感動スポットに、ふるさとLOVERSナビゲーターが旅人となって訪問。その土地に旅がしたくなる周辺情報と一緒に、みなさまをご案内します。今回の感動の瞬間は、長野県池田町にある「七色大カエデ」がテーマです。

おすすめモデルコース

感動の瞬間×七色大カエデ

「感動の瞬間」公式サイトより  ©池田町観光協会
「感動の瞬間」公式サイトより  ©池田町観光協会

北アルプスの麓に広がる長野県大町市と池田町。北アルプスといえば冬のウィンタースポーツを楽しめるイメージもありますが、山々に囲まれているからこそ感じられるのは、秋の恵み。ふるさとLOVERSナビゲーターの竹中唯が、秋を探しに訪れました。旅のメインは、美しいグラデーションを描く「七色大カエデ」。息を呑むほど美しい紅葉を中心に、自然の恵みを知る旅路となりました。

1日目

  14:00 北アルプスの湧水で育つ完熟リンゴの美味しさを知る

写真提供/峯村農園
写真提供/峯村農園

長野県はリンゴの出荷量が全国2位の名産地。まずはリンゴを購入するために、峯村農園へ向かいます。峯村農園は1953年にリンゴを定植してから、長きに渡り農園を続けてきました。現在の園主は、峯村忠志さん。標高760mの高原の太陽と、北アルプスから湧き出る水で育つ完熟リンゴは、昼夜の寒暖差が大きいため、糖度の高さが自慢です。

また、峯村農園のリンゴは、長野県でいわれる「ぼけている」状態=「水分が抜けてボソボソとした食感の状態」になりにくいのも特徴です。そのおいしさから「大町温泉郷」にある複数の宿泊施設で提供されています。

写真提供/峯村農園
写真提供/峯村農園

例年8月中旬〜11月末にかけて約30種ほどの品種が、旬に合わせて代わるがわる店頭に並びます。また、加工所も併設しているので、農園で採れた果物を使った手作りのジュースやジャム、コンポートなども購入可能。リンゴだけでなくブルーベリーやプラム 、プルーンなども栽培しているので、バラエティに富んだフルーツの加工商品があります。

「おすすめは、りんごゼリーの『アップルハニー』。りんごをまるごと煮てエキスを抽出し、砂糖を加えてさらに濃縮したものを加工しているので、時間と手間暇がかかっています」とスタッフの黒川佐百合さん。濃密なリンゴの味わいは、はちみつにも似ています。ヨーグルトやパン、チーズと一緒に合う味です。

ジュース製造によって出たリンゴの残渣(ざんさ)と籾がらを混ぜて発酵させた有機質肥料や、そば殻を使った土づくりをしていて、環境にも優しい栽培方法をしています。

緑の葉っぱのなかに、赤いリンゴがなるのは、とても可愛らしい姿。予約をすれば、例年8月後半から11月中旬までリンゴ狩りが体験できます。連なる山々の麓で、自分の手で木からリンゴを採る体験で、自然をたっぷりと感じてみませんか。

施設情報はこちら

施設名

峯村農園

住所

長野県大町市大町5895-1

電話番号

 0261-22-3454

営業時間

8月中旬~11月中旬、無人販売所あり

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  16:00 西洋のお城のような、森の中にたたずむホテル

写真提供/ANA ホリデイイン・リゾート信濃大町くろよん
写真提供/ANA ホリデイイン・リゾート信濃大町くろよん

宿泊は「ANA ホリデイイン・リゾート信濃大町くろよん」へ。深い森の中に立つリゾートホテルです。周囲の森や、ホテル中庭の木々の色合いは鮮やか。アートのような景色が楽しめます。

写真提供/ANA ホリデイイン・リゾート信濃大町くろよん
写真提供/ANA ホリデイイン・リゾート信濃大町くろよん

風呂は、かけ流しの大浴場と露天風呂です。森にせり出すようにある露天風呂では、自然豊かな山々や森を眺望できるので、まるで森林浴をしているかのような気分に。中部山岳国立公園内の高瀬渓谷の畔の「葛温泉」の引湯を、贅沢に100%かけ流すなめらかなお湯を堪能します。

写真提供/ANA ホリデイイン・リゾート信濃大町くろよん
写真提供/ANA ホリデイイン・リゾート信濃大町くろよん

食事は、窓越しに北アルプスが見えるレストランでいただきます。朝食時には、運が良ければシカやサルなどが顔を見せてくれることもあるのだそうです。

ディナーは地元で採れた旬の野菜を中心にしたビュッフェスタイルで、素材を活かした味わいが人気。綺麗な空気の中で、新鮮な食材を味わう滞在は、身体の中をキレイにしてくれます。

施設情報はこちら

施設名

ANA ホリデイイン・リゾート信濃大町くろよん

住所

長野県大町市日向山2020

電話番号

0261-22-1530

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

2日目

  10:30 グラデーションに紅葉する大カエデ

宿を出発し、2日目の最初に向かったのが、池田町を代表する紅葉スポット。それが「大峰高原七色大カエデ」です。大峰高原は、自然のシラカバ林や、たくさんの花木が見られる標高1000mの美しい高原。その草原にそびえる七色大カエデは、樹齢250年を超えています。江戸時代からこの場に立っていたとされる大樹は、高さ12m、枝周りの直径15m、そして幹周りは3.25mと立派な姿。広い草原に1本だけ存在する大樹には、神秘的な雰囲気さえ感じます。

「七色大カエデ」の名前の由来は、紅葉により全体でグラデーションを描く様子から。葉は緑、黄色、オレンジ、赤などに彩られますが、赤と一言で表現しても濃淡さまざまで、自然が織りなす色彩は感動の一言!例年10月初旬より紅葉が始まり、シーズン最後には全体が赤くなります。

カエデが見つかったのは1947(昭和22)年の開拓事業でのこと。木を伐採して畑にする開墾がおこなわれましたが、このカエデは大きく、根まで掘り起こすことができなかったそうです。結局開拓は失敗し、再びこの地は人の目に触れずにいましたが、近隣に道を作ろうとした1968(昭和43)年、さらに大きく成長し盆栽のように、こんもりと盛り上がった大カエデになって見つかりました。見つけた人は、あまりの大きさに驚いたのではないでしょうか。

七色大カエデの根を守るために柵が設けられているため、内側へは入れませんが、迫力を充分に感じることができます。七変化する自然の造形美に、思わずうっとり。ただただ見つめてしまいます。運が良ければ、早朝に雲海を背景にして見られるのだそう。

また、落葉したカエデの葉が木の根元に広がっていましたが、赤色の葉っぱが、反対色である芝生の緑によく映えています。木に赤い影ができて、まるで浮かび上がっているかのように見えるその姿も絵になります。額縁に入れて飾ったら、素敵なアートフォトになりそうですね。近くには駐車場があり、地元野菜や食べものなどを販売するテントも出ているので、ベンチでご飯を食べながら鑑賞するのも良さそうです。

施設情報はこちら

施設名

大峰高原七色大カエデ

住所

長野県北安曇郡池田町池田

問い合わせ

0261-62-9197(池田町観光協会)

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  12:30 ご当地名物「黒部ダムカレー」を味わう

旅の締めくくりとなるランチは大町市にある「ビストロ 傳刀(でんどう)」へ。注文したのは「黒部ダムカレー」です。

黒部ダムカレーとは、日本一の大きさを誇る黒部ダムをモチーフに作られた大町市のご当地カレー。大町市は、黒部ダムへの玄関口となっています。「黒部ダムカレー」と名乗るには「お米をダムの堰堤の形にするべし」「カレーのルーの上にガルベ(黒部ダムの観光遊覧船)に見立てた“トッピング”を乗せるべし」などの条件があります。

こちらでは、遊覧船に見立てたハンバーグ、または流木に見立てたエビフライのどちらかをトッピングとして選べます。今回は、人気のハンバーグを選んでみました。信州産の牛肉と、地元名産の「白馬SPF豚ロース」の合い挽き肉を使った、ふっくらとした主役級ハンバーグです。

味わって驚くのは、ルーのおいしさ。その調理時間は、なんと5時間以上。安曇野産の信州福味鶏から出汁を取って丁寧に作り上げているのだそう。厚みのある白馬SPF豚ロースも入っていますが、じっくり煮込まれていて、やわらかく、そして濃厚でまろやかな味わいは、しつこさがありません。サラダが添えられているとはいえ50cm弱のお皿に盛り付けてあるにもかかわらず、ぺろっといただけます。

オーナーシェフは、50年以上キッチンに立つ傳刀孝男(でんどうたかお)さん。「手間暇かけて作ったほうが、食材のコクや良いところが出て、落ち着いた味になるんですよ」と傳刀さん。マヨネーズ、タルタルソースまで手作り・無添加にこだわっているそうです。100時間煮込んだデミグラスソースを使うシチューも人気メニューです。

「黒部ダムカレー」を名乗るには「必ず水をつけるべし(北アルプスの麓、大町の水をご堪能いただくため)」という条件もあります。「水道水?」と思うかもしれませんが、これもぜひ、おためしあれ。

大町市の水道水は、水源からの「湧水」を使用しています。ビストロ 傳刀のある地域は「居谷里(いやり)水源」から流れていて、爽やかさを感じる優しい味。この水が、傳刀さんの料理に雑味を加えず、より引き立てているのかもしれません。この水を吸って炊き上げられているお米も、ふっくらしていて、お米本来の旨味を味わえます。

施設情報はこちら

施設名

ビストロ傳刀

住所

長野県大町市下白塩町082-1

電話番号

0261-22-3755

営業時間

11:30~14:00 / 17:30~20:00(L.O.19:30)

休業日

月曜日(祝日の場合は翌日休) 年末年始

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

自然の恵みを存分に目の当たりにした旅。目に焼き付いた「七色大カエデ」は、秋をまざまざと体感させてくれる存在。個人的に来年も見にいきたい、秋の風物詩となりました。家に帰って購入したリンゴを食べるのも楽しみですね。偉大なる山々に見送られながら、池田町・大町市を後にしました。

地域ナビゲーター

竹中 唯

中部地方 地域ナビゲーター
竹中 唯

長野県在住。7年間の会社勤めを経て、フリーライター活動を開始。キャッチコピーを含めて、テキストに思いをふんだんに込められるように、努めています。