千葉県銚子市

「地球って丸かったんだなあ」と実感する展望台と眼下に広がるキャベツ畑

2020.10.30

この記事では、日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介します。
今回登場いただくのは、地域住民から「お祝い事をするならココ」と厚く支持される「銚子プラザホテル」の支配人・大木啓嗣さんです。

銚子を長年見守ってきた老舗ホテル

関東最東端に位置する銚子市は、三方を太平洋に囲まれ、雄大な利根川が流れる風光明媚な場所として知られています。漁獲高全国一の銚子漁港や東洋のドーバーとも呼ばれる屏風(びょうぶ)ケ浦など、写真に残したくなる景勝地や魅力的なスポットがいっぱい。

そんな銚子という土地で、1949(昭和24)年の創業以来、地域住民から「お祝い事をするならココ」と厚く支持される老舗・銚子プラザホテル。数あるスポットの中でも、銚子プラザホテル支配人の大木啓嗣さんが地元で「100年先も残したい」と語るのが、「地球の丸く見える丘展望館」とそこから眺めるキャベツ畑です。

「銚子のキャベツは「灯台キャベツ」の名で全国有数のキャベツ産地です。展望台の周りはキャベツ畑が多く、そこから見えるキャベツ畑、その先には太平洋、水平線ととても素晴らしいので推薦しました」と大木さん。そんなすてきな眺めが楽しめるなら…と足を運んでみました。

銚子一円が視界いっぱいに広がる展望台

まず訪れたのが、千葉県北東部(北総地区)で一番高い山である愛宕山の頂上にある「地球の丸く見える丘展望館」。展望スペースは、最上階にある喫茶スペースからテラスに出て、さらに階段を上った屋上にありました。その標高は約90m。それでもここは、北総エリアで一番高い場所なのです。遮るものが何もない大パノラマの中心に立っていると、空に浮かんでいるような気持ちに。その名の通り「ああ、地球って丸かったんだなあ!」と身をもって実感でき、小さな悩みも吹き飛びそう。

太平洋に腕を突き出しているようにも見える銚子半島の、「こぶし」部分に位置する「地球の丸く見える丘展望館」。東・西・南の三方向に太平洋が、北には利根川が見渡せます。犬吠埼(いぬぼうさき)灯台や屏風ケ浦など、銚子の見どころが一望できるのもポイント。鳥の目線で銚子の風景を楽しむのも良し。東西南北それぞれに、望遠鏡も設置されているので、じっくり見たいスポットがあればのぞいてみるのもおすすめです。

出荷量は日本一!味自慢の銚子産春キャベツ

そして秋から春にかけては、青々としたキャベツ畑がこの風景に彩りを加えます。厳寒期でも最低気温が2.4℃を超える温暖な気候の銚子市は、春キャベツが特産品。葉が柔らかく、みずみずしくて甘みが強い銚子産春キャベツは、出荷量としても日本一です!

そして銚子といえば、銚子駅から外川駅までの全長6.4㎞を走る銚子電鉄。素朴な車両が一面のキャベツ畑を横切る眺めは、銚子の風物詩となっています。

昔ながらの漁師町・外川で義経伝説に触れる

「地球の丸く見える丘展望館」から少し足を延ばして、ぜひ出掛けたいのが、大木さんもおすすめする外川方面。一部に石畳が残る外川の町並みは、海岸線へと続く細い坂道やレトロな郵便ポストなど、古き良き漁師町の風情が感じられる場所です。

坂を下ると見えてくるのが外川漁港。さらに西側に向かうと、そそり立つ二つの岩塊が犬の耳のように見える「犬岩」が出現します。銚子には、源義経にまつわる伝説に由来するものがいくつかありますが、実はこの犬岩もその一つ。

源頼朝に追われた義経一行は、奥州に落ち延びる際に銚子に立ち寄ったといわれています。その際、海岸に置き去りにされた義経の愛犬・若丸は主君を思い、七日七晩鳴き続けました。そうして八日目に現れたのがこの犬岩。ちなみに犬吠埼の地名も、若丸の吠える声が届いたことから名付けられたそうです。

実は犬岩は、約1億5000年前(中世ジュラ紀)の砂岩や泥岩で形成されています。千葉県で最も古い「愛宕山層群」に属し、見た目のユニークさだけでなく、地質学的にも価値のあるスポットなのだとか。ダイナミックな地殻変動の痕跡と、ちょっぴり切ない伝説とが交差する犬岩。じっと眺めていると、不思議なパワーがもらえる気がしました。

展望台から見渡せば、新たな魅力を発見できるはず

これまで何度も銚子を訪れたことがある筆者ですが、北総の“最高峰”から見る銚子は、今まで見た景色とは、また違った素晴らしさがありました。展望スペースに立ち、北から南へ、時計回りに目線を動かすと、ぐるりと付いてくる水平線。屏風ケ浦にぶつかり、海が途切れた風景の奥には、悠々と流れる利根川。「地球の丸く見える丘展望館」が建つ愛宕山をはじめ、何億年、何万年と気が遠くなるような長い年月を経て銚子半島は形成されました。

悠久の時を経て作られた美しい海岸線と豊かな緑の中に、キャベツ畑や家々といった人々の営みを見ると、愛おしい気持ちがこみ上げてきます。北総で一番高い場所から銚子の雄大な自然を目の当たりにし、長年銚子に親しむ大木さんが、この場所を推薦した気持ちが分かりました。この先時が流れて時代が変わっても、きっとここからの風景は、感動を与え続けてくれることでしょう。

<今回の旅スポット>

地球の丸く見える丘展望館
千葉県銚子市天王台1421-1
4月~9月 9:00~18:30/10月~3月 9:00~17:30(入館は閉館30分前まで)
入館料 大人420円、小中学生200円、65歳以上360円
0479-25-0930
無料駐車場 大型バス5台、普通車126台

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

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『ちいき新聞』編集部

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