沖縄県南城市『百名伽藍』

琉球ホスピタリティでもてなす 寛ぎ(くつろぎ)の宿

2021.10.29

沖縄県南城市 × 百名伽藍

日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。今回訪れたのは、一流のホスピタリティとゆたかな自然で上質な滞在を提供する、沖縄県南城市の「百名伽藍」です。

“ざわわ”感じる、自然ゆたかな南城市

沖縄県南城市に来るといつも、森山良子さんの「さとうきび畑」が頭に流れます。すくすくと育つさとうきび畑に、大自然を吹き抜ける心地よい風、車を走らせるごとに緑と海が美しく姿を表し、赤瓦や白瓦の家が点在するこの地域は、まさに沖縄の原風景が広がる地。

沖縄に移住して7年以上経つ私も、いまだに車を走らせるのが楽しみな地域であり、ドライブやツーリングスポットとして県内外の人から愛されているのもうなずけます。

世界が認める上質なホスピタリティ

南城市の中でも、ひときわ手つかずの自然が息づく地・百名にひっそりと佇む「百名伽藍(ひゃくながらん)」。自然と溶け込むような設計や琉球と和が融合された美食の数々、美しい景色や館内に施されたアートなど、注目すべき魅力が山ほどありますが、中でも数々の宿泊者をとりこにしてきたのが一流のホスピタリティです。

そのホスピタリティは世界中に評価されており、世界で最も格式高いとされている「フォーブス・トラベルガイド」にて3年連続受賞を果たしたほか、旅行業界のアカデミー賞と称される「ワールド ラグジュアリー ホテル アワード」7年連続受賞や、世界7大陸のホテルホスピタリティを表彰する「Haute Grandeur global Hotel Awards」にて3部門受賞など、数えきれないほどさまざまな名誉ある章を受賞しています。

マニュアル不在。スタッフに教えるのは「琉球の心」

「百名伽藍の接客には、マニュアルがないんです」。そう教えてくれたのは、百名伽藍・副支配人の西向信枝(にしむかい のぶえ)さん。

「創業時から総支配人がこだわるのは『琉球ホスピタリティ』。つまり沖縄の人が持つ”おもてなしの心”です。沖縄は困っている人がいたら自然と手を差し伸べられる人が多いでしょう。その心を開放して接客するという発想です。スタッフには型にはまった接客はなく、自分の中から”してあげたい”と湧き上がる心を大切に、それぞれ自由に接客してもらっています」。

マニュアルがないからこそ、考える力が育まれる

西向さんいわく「マニュアルがないからこそスタッフはささやかな変化に敏感になります」とのこと。沖縄の地のものと、旬が織りなす「和琉会席」を提供するレストランでは、「美しい景色とシェフが腕を振るった料理を引き立てるような接客とはなんだろう」とスタッフがそれぞれに考えます。

たとえばお客さまの会話から誕生日の方がいると知った際、さりげなくバースデープレートを用意したり、本来は右からサーブする料理を、会話の流れや景色が見える方向などに考慮して時に左から出したりなど。スタッフがそれぞれに考えながら生み出していくことで、ホスピタリティが日々洗練されていくのだと思いました。

自然に溶け込むような滞在空間

琉球ホスピタリティは直接的な接客にとどまりません。「光と影と風を感じる」をテーマとした館内は、風の通り道を計算して窓を開放。全室オーシャンフロントの客室は、光や影を感じてもらうためにあえて直接照明を入れず、間接照明だけにしています。

体を起こせばすぐに海が臨めるベッドの配置もこだわりです。日が沈む時間に眠り、日が昇る頃に起きる。吹き抜ける風を感じながら、1日の移ろいを感じる。非日常でありながら、自然体な自分を取り戻してくれる。百名伽藍が創り込むのは、そんな自由でやさしいひとときなのです。

チームプレーで守る、非日常空間

お客さんに喜ばれるもののひとつとして、最上階の海が一望できる露天風呂があります。完全予約制・貸し切りの露天風呂は、ひとつひとつが庵(小さな住居)となっており、ぜんぶで6庵。つまり6組が同じ時間に予約するということもあり得るのですが、案内の際にお客さん同士がバッティングしないよう、スタッフ同士で連携を取りながら道順や数秒の時間をずらすのだそう。

人気があるのは、美しい夕陽や満潮の海が見られる時間帯。海に溶けていくような空色の湯やオレンジ色に染まる夕陽、どこからともなく聴こえてくる鳥のさえずりを全身で堪能してください。

ホテルのおもてなしに欠かせない、自然への配慮

百名伽藍は自然への配慮も怠りません。ホテル中央の吹き抜けには大きなガジュマルの木がそびえ立っていますが、実はこの木、あまりにもすくすくと育ち、ある日テラスを突き破ってしまったそう。植物の力強さに圧倒されるお話ですが、その後の判断にもっと驚かされました。なんと総支配人、木を切るのではなくテラスを壊すという決断を下したのです。

「百名伽藍は自然とともに生きるホテルを目指しています。ですので建物のために植物を切るという選択はありえません。植物に寄り添いながら、建物の造りを変えていくという考えなんです」

自然への敬意、そしてその感度の高さは、案内いただく節々でも感じました。途中、歩くヤドカリを見かけたり、鳥のさえずりが聞こえてきたりと、自然の声が聴こえてきます。その度に西向さんはにっこりと微笑み「ここに来る方には自然に身を委ねて過ごしてほしいんです。私たちもスタッフも、ここで働くようになって自然の声や音、季節の移り変わりにとても敏感になりました」と話してくれました。

百名伽藍の物語を全員で共有し、育む

最後に西向さんに、気になっていたことを聞いてみました。正解もマニュアルもない接客技術となると、ある意味とても個人差が出そうなところ。それなのに口コミや受賞歴を見る限り、ほぼすべてのお客様が満足、どころか感動しているのはなぜでしょうか。そこにどんなマジックがあるのか、どうしても聞きたくなりました。

すると「ときどき名誉会長(創設者であり支配人の夫)に、ホテル創設について話してもらうんです」と西向さん。聞くと百名伽藍創設には大変な労力がかかっているそうで、素晴らしい自然が育まれた地だけあって、土地の地主さんひとりひとりへの説得には相当な時間を要したといいます。

「この素晴らしい自然を絶対に壊さず、大切に、ここにホテルができて良かったと皆さんに思っていただけるような空間を必ず作り上げます」。そうやって丁寧に伝えてまわって10年。そうして誕生したのが、ここ百名伽藍なのです。その想いを全員に伝えることで、スタッフがおのずと自発的になるのだそう。事実として百名伽藍は棟を増やしながら成長し続けています。

百名伽藍の物語を紡ぐひとりとして、全員が使命感をもって仕事に向き合うからこそこの素晴らしい場所が保たれているのだと最後にまた感動し、百名伽藍をあとにしたのでした。

施設情報はこちら

施設名
百名伽藍

住所
沖縄県南城市玉城字百名山下原1299-1

電話番号
098-949-1011

休業日
無休

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地域ナビゲーター

三好 優実

沖縄支部 沖縄ライター
三好 優実

沖縄県那覇市在住。香川県で生まれ育ったのち、大阪や東京で仕事中心の生活を満喫していましたが、沖縄旅行で「人」の魅力にはまり、仕事をあっさり手放して移住。1年くらいで別の土地に行こうと思いきや、早6年が経過しました。ライター歴は5年。