北海道旭川市

日本最北の地で“命”を伝える「旭山動物園」

2020.10.27

この記事では、日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介します。
今回登場いただくのは、北海道旭川市で長く暮らしに寄り添う「旭川家具」を手掛けている「cosine(コサイン)」です。

都市機能と自然が調和するまち、北海道旭川市

北海道のほぼ中央に位置する旭川市は、札幌に次ぐ「第2の都市」とも呼ばれ、人口約33万人が暮らすまち。JR旭川駅の外へ一歩足を踏み出すと、日本初の恒久的歩行者天国「平和通買物公園」が約1kmに渡って続き、その周りを囲むようにして、多くの商業施設や文化施設などが集まっています。

一方、雄大な大雪山に見守られる旭川は、四季の変化に富み、夏は30℃を超え、冬にはマイナス30℃を記録する地域もあります。

今回訪れた「旭山エリア」は、旭川の魅力的な自然を感じられる場所のひとつで、秋には深く鮮やかな色合いの紅葉を楽しむことができるおすすめスポットです。

旭川家具メーカーが「100年先に残したい場所」

また、旭川は100社を超える家具・クラフトメーカーがそろう日本五大家具産地のひとつ。シンプル且つ機能的なことで知られる「旭川家具」ブランドのなかでも、長く暮らしに寄り添う生活道具を日々生み出しているのが「cosine(コサイン)」です。

創業当初から変わることのない「長い年月をかけて育った木を無駄にすることなく、活かしたい」という信念。自然の恵みに感謝し、木っ端までをも生かしたものづくりにより完成した製品は「経済産業省 グッドデザイン賞」受賞という形でも評価されています。

そんな家具職人たちに「100年先に残したい場所」を伺い、選ばれたスポットが「旭山動物園」です。「とにかく楽しくて、地元住民からも愛されている場所」という旭山動物園を実際に訪ねながら、その魅力を体験してきました。

日本最北の地で“命”を伝える「旭山動物園」

旭山動物園は、中心市街地から東に車を走らせること約30分ほど。美しい天然林が保存されている桜や紅葉の名所「旭山」のふもとにあります。

「旭川といえば、動物園」と認識している方も多く、このまちの代名詞とも言える大きな存在。自然豊かな丘陵地ならではの地の利を生かした、ダイナミックで迫力のある飼育や展示も、親しまれている理由のひとつです。

「伝えるのは、命」。そんな想いを大切に運営されている日本最北の動物園には、地元の方はもちろん、国内外からも多くの方が日々足を運んでいます。

生き物や自然を学ぶ「玄関口」として

「旭山動物園には特別珍しい動物はいません。一般的な動物園なら当たり前にいる動物たちばかりですが、生き物それぞれの営み、感性や個性の素晴らしさを、訪れるみなさんと共有できる場にしたいんです。全国的にみても、動物の夏の顔と冬の顔でこれほどはっきりした違いがみられるのは、厳しい自然に囲まれたこの地域だからこそだと思います」。

そう語ってくれたのは、約30年ほど前から獣医として携わり、現在は園長を務める坂東 元(ばんどう げん)さん。

「動物の生きる力は本当にすごい。僕たち飼育スタッフは、いつも動物たちから学んでいます。育てているようで、動物に育てられている。この場所を訪れる方には、いろんな生き物たちのリズムや、そこにしか流れない時間を感じてもらえると嬉しいです。」と想いを語ってくださいました。

“ここに来てよかった”と思える動物園に

旭山動物園の楽しみ方はさまざまですが、そのうちのひとつがユニークな飼育・展示方法。

全国的に名を馳せるきっかけとなった「あざらし館」の円柱水槽による展示はもちろん、動物が本来もつ能力や行動を引き出すことを目指した工夫が、園内のあちこちに散りばめられています。

土地柄を生かした施設の設計や、思わず足を止めて読み入ってしまう手書きの看板など、「身近な動物の素晴らしさを惜しみなく伝えたい」という飼育スタッフの方々の想いや動物への愛情がこちらにも伝わり、じんわりと温かい気持ちになりました。

平日のみ行われている「もぐもぐタイム」(開催時間は当日10時頃に公式Webサイトで発表)も見どころのひとつです。この日はぺんぎん館にて、飼育スタッフがエサを与えながらぺんぎんの特徴や習性などを解説してくれました。

その愛くるしい姿に癒されながらも、動物たちの成長を日々見守る飼育スタッフだからこそ知り得ているお話や、動物を取り巻く環境について気づきを得られる、とても興味深い時間でした。

また、11月中旬から始まる冬期シーズンには、北方系のトラやレッサーパンダ、立髪のような冬毛が特徴のシンリンオオカミの姿が、より一層楽しめるそうです。

もともと冬を生き抜く力が備わっている動物たちが、厳しい自然のなかで生きる様をみられるのは北の大地ならでは。「“ここに来てよかった”と思えるものを何か1つでも持ち帰ってほしい」。それは、坂東園長の願いでもあります。

「生きる」を考え、命に関わりつづける

2020年7月で開園から53年を迎えた旭山動物園。坂東園長のお話からは、園として動物の命を預かるということ、その命のバトンを途切れさせず次世代へと繋いでいくことへの覚悟が感じられました。

友人やご家族と賑やかに楽しむのも良いですが、ぜひお一人で、もしくは少人数でも、それぞれのペースを大切にじっくりと動物に向き合ってほしい。そして一度きりではなく、何度でも足を運んでほしい。お話を聞いた後は、自然とそんな気持ちが湧きました。

動物たちの行動や生きざまを通して、自分の生き方を見つめてみる。そんな時間が、きっと私たちの心を豊かにしてくれることでしょう。

<今回の旅スポット>

旭川市 旭山動物園
北海道旭川市東旭川町倉沼

夏期開園
2020年10月16日(金曜日)~2020年11月3日(火曜日・祝日)
午前9時30分~午後4時30分(最終入園/午後4時00分)

冬期開園
2020年11月11日(水曜日)~2021年4月7日(水曜日)
午前10時30分~午後3時30分(最終入園/午後3時00分)

0166-36-1104

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

地域ナビゲーター

山本 栞

北海道支部 北海道ライター
山本 栞

北海道旭川市在住。ごはんと自然をこよなく愛し、「自分で自分を満たす」をテーマに心地よいと思える暮らし方や生き方を模索&実践中。ライティングで大切にしていることは、「正直さと率直さを失わず、読み手に伝わるように事業者さまの魅力を表現すること」です。