千葉県御宿町

童謡「月の沙漠」のロマンを伝える銅像

2022.12.08

日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介するコーナー。今回は、ふるさとLOVERS公式Instagram「旅写真コンテスト」にご応募くださったうさまるさん(@usamaru0205)の100年先に残したいもの、千葉県夷隅郡御宿町にある「月の沙漠記念像」をご紹介します。

誰かに教えたい旅写真コンテストとは?

誰かに教えたい旅写真コンテストの詳細はこちら
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「大切な人に教えたい」「100年先にまで残したい」。地元や旅先で見つけたとっておきの写真を、Instagram・Twitterでハッシュタグ「#ふるさとLOVERS」をつけて投稿してみませんか。「ふるさとLOVERS」では、「誰かに教えたい旅写真コンテスト」を主宰しています。投稿写真の中から選考の上、「ふるさとLOVERS賞」受賞者には賞品をプレゼント!ぜひご応募ください。

夏は海水浴客でにぎわうリゾート地・御宿町

房総半島の南東部に位置する千葉県の御宿(おんじゅく)町。透明度の高い海と真っ白な砂浜が広がる御宿海岸は、関東屈指の美しい海水浴場です。都心からのアクセスも良く、夏になると海水浴やサーフィンを楽しむ人でにぎわいます。

そんな御宿海岸の砂丘は、画家・詩人である加藤まさをの童謡「月の沙漠」のモデルになったと言われる場所。そんな童謡の世界観に浸りたい人が、ぜひ訪れたいのがJR御宿駅から徒歩10分強の場所にある中央海水浴場です。海岸には、歌詞に登場するラクダに乗った王子様とお姫様を模した月の沙漠記念像が建てられています。

雄大な砂浜と海をバックにたたずむラクダの銅像は、今にも動き出しそうな迫力がありますね。

うさまる(@usamaru0205)さんの投稿
うさまる(@usamaru0205)さんの投稿

今回、月の沙漠記念像を「100年先に残したい」と、ふるさとLOVERS公式Instagram「旅写真コンテスト」に応募してくれたのは、うさまる(@usamaru0205)さん。「幻想的な風景、綺麗な海、綺麗な夕日。みんなが自然の素晴らしさに気付かされる場所。100年後もこの美しい景色が見たいです」と教えてくれました。そんな「月の沙漠」に、ふるさとLOVERS地域ナビゲーター小原が実際に取材してきました!

童謡「月の沙漠」のモデルになった御宿の砂丘

なぜ、海水浴場として名高い御宿の海岸にラクダの銅像が建っているのでしょうか。加藤まさをの資料を展示する「月の沙漠記念館」の石井京廣(いしい・きょうひろ)館長に、記念像の歴史や、御宿町との関わりを聞きました。

「御宿町は、童謡『月の沙漠』の作詩者である抒情画家・詩人の加藤まさを氏が、青年期に結核の療養のためにたびたび訪れていた場所。その時に見た御宿海岸の砂丘から『月の沙漠』の着想を得たと言われています」と石井館長。

今はなだらかな砂浜が広がる御宿海岸には、かつて高さ10メートルもある砂丘が存在したのだそう。現在でも、砂丘の名残と思われる地形が一部で見られます。月の沙漠記念像のすぐそばにも、数メートルほど丘になっている場所がありました。

「月の沙漠」の世界観を伝えるラクダ像

「月の沙漠記念館」によると、青少年の情操教育に役立てるために、「月の沙漠」の情感あふれる世界観を表現する銅像がこの地に建てられました。

現在の銅像は、1990(平成2)年にお披露目された2代目。初代の月の沙漠記念像が完成したのは、今から50年以上前の1969(昭和44)年です。初代の銅像は、御宿町の姉妹都市である長野県野沢温泉村に寄贈されました。

フォトジェニックな撮影スポットとしても人気

写真提供/御宿町役場
写真提供/御宿町役場

御宿の広々とした砂浜に建つ月の沙漠記念像。まるで本物のラクダが砂漠を歩いているかのようなフォトジェニックな1枚が撮れると、撮影スポットとしても人気があります。特に、地平線から昇る朝日や、沈みゆく夕日にラクダのシルエットが浮かび上がる様子は、ここが日本であることを忘れてしまいそうなくらい幻想的です。

石井館長によると、周辺に宿泊している人がベストな時間帯をねらって、朝や夕方に撮影しにくる姿が頻繁に見られるそう。石井館長ご自身は、夕日をバックにした月の沙漠記念像が特にお気に入りです。

記念像の歴史を学べる「月の沙漠記念館」へ

童謡の世界をもっと知りたいと「月の沙漠記念館」を訪ねました。「月の沙漠記念館」は、銅像が建つ中央海水浴場の道路を挟んだ向かい側にあります。1990 (平成2)年に設立された記念館では、加藤まさを氏の略歴や月の沙漠記念像の歴史が、作品(複写)や資料を用いて解説。

※「月の沙漠記念館」館内は撮影禁止です
※「月の沙漠記念館」館内は撮影禁止です

加藤氏の略歴と共に、作品(複写)や、生前使用していたピアノなども展示されています。

5分の1スケールの月の沙漠記念像も。記念館では、加藤まさを氏にとどまらず、「月の沙漠」を作曲した佐々木すぐる氏や、銅像を手掛けた彫刻家の竹田京一氏、銅像が建立された当時の御宿町の様子も紹介されています。月の沙漠記念像の歴史をさまざまな視点から学べる場所でした。

月の沙漠記念像を知り、御宿町の魅力を知る

石井館長は「月の沙漠記念像は、素晴らしいロケーションの御宿海岸に建っています。観賞したり、写真を撮ったりするだけでなく、なぜここにラクダの像があるのか、目の前にある記念館に何かヒントがあるかもしれないから少し見ていこうという発想を持っていただけたらうれしい。記念像の歴史を通じ、童謡という一つの文化が生まれた御宿町の魅力が伝わればいいなと思います」と話してくれました。

いま一度、御宿海岸の美しさを実感させてくれる月の沙漠記念像。御宿町を訪れる際は、海のアクティビティや名産の伊勢海老を堪能するのと共に、記念像を通じて自然の素晴らしさに触れるのも一興です。

施設情報はこちら

施設名
月の沙漠記念館

住所
千葉県夷隅郡御宿町六軒町505-1

電話番号
0470-68-6389

営業時間
9:00~17:00

休館日
水曜(水曜日が祝日の場合は翌日)、祝日の翌日
※月の沙漠記念像は無料で見ることができますが、記念館の展示を見るには入館料(大人400円、高・大学生300円、小・中学生200円)が必要です。

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

地域ナビゲーター

小原 らいむ

関東支部 地域ナビゲーター
小原 らいむ

茨城県つくば市在住、千葉県柏市で生まれ育ったライター。1994年生まれ。一時期は都内の出版社に勤めるも、自然豊かで広々とした千葉や茨城が大好きだと再認識し、東京から戻ってきました。現在はフリーライターとして地域メディアなどにも寄稿しています。