北海道

大人もワクワクする体験型動物園

2022.10.06

日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介するコーナー。今回は北海道札幌市にある「ファットリアビオ北海道」の髙橋廣行さんに、「ノースサファリサッポロ」をご紹介いただきました。

100年後にも残したい! 大人もワクワクする体験型動物園

札幌市は都市機能と自然が調和した街です。都心から少し離れると野鳥や野生動物と出くわすこともしばしば。「ファットリアビオ北海道」は、そんな環境の中でチーズ工場とレストランを営んでいます。北海道産100%の新鮮な生乳を使ったチーズを南イタリア出身の職人が作っており、国内外から高い評価を得ています。

ファットリアビオ北海道CEOの髙橋廣行さんは北海道外から知人がやってくると、必ずと言っていいほどノースサファリサッポロに案内するといいます。「これだけ近い距離で動物たちと触れ合える動物園は全国でも珍しい。100年先まで残ってほしい」と話します。

「何があっても自己責任」を掲げる体験型ふれあい動物園

ノースサファリサッポロは「体験型ふれあい動物園」をテーマに、他の動物園ではお目にかかれない動物を約160種も飼育しています。運営会社代表の星野和生さんが、定山渓温泉にあった熊牧場が閉鎖されたことを知り、それに変わる新しいレジャー施設として2005(平成17)年7月に札幌市南区に開園しました。本業は建設業であり、重機の扱いはお手の物。最初は「熊牧場より少し充実した施設になればいい」という感覚で始めたそうです。

森の整地を開始し、一年ほどでメインスペースが完成。周囲の土地を買い取っては新しい施設を増設しました。園内にはふれあい場である「ノースサファリサッポロ」、危険生物がうごめく「デンジャラスの森」、そしてジップラインなどの遊具が楽しめる「ノースサファリアドベンチャー」と趣旨の異なる3つのエリアがありますが、それぞれが飛び地のように点在しているのはそのためです。

動物園は入園者の安全が保障されているのが一般的ですが、ノースサファリサッポロが謳うのは「日本一危険な動物園」。「何があっても自己責任」の注意書きが掲げられています。たとえ人に飼われていても、動物は危険を感じると本能的に攻撃するもの。ウサギはおとなしいイメージがありますが、嫌がっているときに抱こうとすると噛みつきますし、エサを食べてるときに触れようとすると、多くの動物は攻撃してきます。「自己責任」は誇大表現ではなく、「入園者自身がどのように接すれば、動物と楽しく遊べるか考えてください」という注意書きなのです。

動物たちの気持ちを考えながら接する

「ノースサファリサッポロ」では、たくさんの動物と触れ合うことができます。南半球エリアでは、ケープペンギン、モモイロペリカン、マーラ、ベネットワラビー、アカカンガルーが放たれています。エサを買ってゲートを開けると、たちまち動物たちに囲まれました。これぞノースサファリサッポロの醍醐味です。

ワラビーにしがみつかれてズボンが汚れたり、突進するカンガルーに後ずさりしてフンを踏んでしまうこともあります。そんな災難さえも動物との距離が近い証拠。思わず笑いがこみ上げてしまいました。

「ジャングルゾーン」には、「アジアの森」「アフリカの森」「南米の森」の3つのエリアがあり、世界中の動物に出会うことができます。アジアの森では、コツメカワウソが穴から手を出してエサをおねだりしています。

ここでも動物と人間の距離感が大切。穴から手を出しているカワウソの手を引っ張るとケガをさせてしまいます。小さなエサをいかに危険なく手渡せるか。動物たちと楽しく触れ合うためには、相手を思いやることが大切なのです。

「アフリカの森」は、ワオキツネザルとケヅメリクガメが共生しています。ワオキツネザルは、しっぽの模様が輪のようになっていることから、その名が付きました。最近生まれた赤ちゃんたちはお母さんにくっついて離れません。もし人が子ザルに触れようものなら、母サルは全力で我が子を守ろうとするでしょう。人もサルも子を思う気持ちは同じ。優しく見守ってあげてください。

「南米の森」では、カピバラ、アメリカバク、コモンリスザル、フタユビナマケモノなど多数の動物が展示されています。ちょっととぼけた顔で、カピバラがエサを食べる姿に思わずホッコリ。

ナマケモノを展示しているのは、北海道ではノースサファリサッポロだけ。グリーンイグアナを枕替わりに熟睡していました。ゆっくりとしか動かないイメージですが、危険を察知するとカギ爪で引っかかれます。くれぐれもハグなどしないでください。

他ではできない体験がいっぱい

大型の動物と触れ合えるのもノースサファリサッポロの魅力のひとつです。アミメキリンのひなた君は、2017年4月に宇都宮動物園からやってきました。キリンと同じ目の高さでエサを与えることができるので迫力満点。思わず近づきすぎて鼻で追い払われてしまいました。

写真提供/ノースサファリサッポロ
写真提供/ノースサファリサッポロ

「普通のエサやりじゃつまらない」という方にはプレミアム体験がおすすめ。ライオンやトラ、クマなどの猛獣にエサを与えることができます。トラの檻に入って目の前でエサをあげるスーパープレミアム体験も大人気。

珍獣ふれあいコーナーでは、「巨大なビルマニシキヘビを首に巻く」、「シャムワニをなでる」などの無料体験を実施しています。ヘビの体は思いのほかすべすべ。つぶらな瞳がかわいらしく思えてきました。

森の中のイベント広場では、午前と午後の2回、「アヒルレース」が行われています。アヒルたちには、首のスカートの色によって鈴木さん、モモイロセクシーコマンドなどユニークな名前がつけられています。トップ2羽を当てればプレミアム体験無料券をゲット。しかしアヒルは気まぐれで、万馬券を当てるよりも難しいです。

「デンジャラスの森」にある「デンジャラスゾーン」は、危険承諾書のサインが必要な冒険エリアです。臭い分泌液を浴びせるスカンク、鋭いトゲで全身武装するヤマアラシ、アマゾン川の肉食魚ピラニアなどがあちこちに潜んでいます。細心の注意を払うため、ここでの事故はゼロ(2022年8月時点)。スリルを味わいたい人にぴったりです。

動物と接する楽しさと危険を100年先にも伝えてほしい

大人が楽しめることをテーマにしたエンターテイメント性が強いノースサファリサッポロ。道外から何度も訪れるお客さんも多く、髙橋さんが遠方からのお客さんを必ず連れて行きたくなるのも納得です。

ノースサファリサッポロが日本一危険な動物園と謳っているのは「お客さんが無茶をしないため」と言います。たとえ人になついていても、無理やり抱き上げれば動物は驚いて噛みつきます。「動物と接することは楽しくあり、危険でもある」ということを理解したうえで、来園者自身が距離を保つことが必要なのです。

北海道は野生動物の宝庫であり、ヒグマやキタキツネに出くわすこともありますが、たまに人間の食べ物を与えたり、近寄りすぎて人を恐れなくなるなどの問題が発生しています。ノースサファリサッポロはこれからも「他の動物との共生とは何か」というメッセージを伝え続けていきます。

施設情報はこちら

施設名
ノースサファリサッポロ

住所
札幌市南区豊滝469-1


営業時間
季節及び施設によって営業時間が異なります。

休園日
12月1日~翌年1月4日、3月28日~4月27日

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

地域ナビゲーター

吉田 匡和

北海道支部 地域ナビゲーター
吉田 匡和

札幌市出身、在住。社会福祉士の資格と経験を持つ異色の「おでかけ系ライター」。2016年にフリーライターに転向し、2017年に個人事業所「ブーレオルカ」を設立しました。「楽しさが伝わる」、「すべての人に有益である」、「記憶に残る」の3つを信条に執筆しています。