高知県高知市

高知の風土をたっぷり感じる名物ひろめ市場

2022.10.19

日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介するコーナー。今回は、高知県高知市の人気酒蔵「酔鯨」の杜氏・藤村大悟さんに、高知の食文化を楽しむ名スポット「ひろめ市場」をおすすめいただきました。

高知の食文化を体感できるグルメスポット

海と山と川に囲まれた高知県は、自然の恵みを受けて育つ農作物や魚介類の宝庫です。そんな高知の美味しいものやお料理が揃い、高知独特の食文化が体験できる場所が「ひろめ市場」。高知城、はりまや橋、桂浜や坂本龍馬像など、高知市内には観光名所がたくさんありますが、県外から来たと高知県民に伝えると「ひろめ市場は行ったかえ?」「帰るまでにいっぺん行ってみいや!」とみんながオススメするスポットです。

ひろめ市場があるのは、高知城の目の前。高知県が土佐藩と呼ばれていた頃に、家老だった深尾弘人蕃顕(ひろめしげあき)の屋敷があった場所です。お屋敷がなくなってからも、あたりの土地を「弘人(ひろめ)屋敷」と呼ぶほど親しまれていた名家老だったので、商店街活性化の起爆剤になるようにと誕生した施設に「ひろめ市場」と名づけました。市場に軒を連ねるのは、魚屋、肉屋、八百屋、飲食店に雑貨店など約55店舗。中央にはたくさんのテーブルが並んでいて、みんな思い思いの料理やお酒、ソフトドリンクを注文して食事を楽しみます。

オススメしてくれたのは酔鯨酒造の杜氏・藤村さん

「ひろめ市場を100年先に残したい」と教えてくれたのは、高知市に酒蔵を構える酔鯨酒造(すいげいしゅぞう)で、杜氏を勤める藤村大悟(ふじむらだいご)さん。ご自身も大のお酒好きで、高知の酒文化を感じられるスポットだと紹介してくれました。「ただ、料理やお酒を楽しむ場所ではなくて、隣で飲んでいる人たちと仲良くなって一緒にお酒を楽しめる。高知ならではの文化交流ができるのがひろめ市場の魅力です」
 
では、一体どんなお店があるのか。今回は藤村さんが厳選する飲食店3店舗をたずねました。

藁焼き実演が目を引く明神丸

南入り口から入ってちょっと足をすすめると飛び込んでくるのが、カツオの藁焼きを目の前で焼いてくれる「明神丸」。高知県では「カツオの一本釣りといえば明神丸」といわれるほど、誰もが知るすご腕漁師が集う船の名前です。
 
一本の竿と腕だけで1匹ずつカツオを吊り上げる「土佐一本釣り」と呼ばれる漁法で、カツオの漁獲高日本一を誇る明神丸。「漁師が釣って、漁師が焼いた」のキャッチフレーズは高知県民なら誰もが聞いたことがあるのではないでしょうか。カツオを知り尽くす明神丸だからこそ分かる、最高に美味しいカツオの食べ方でおもてなししてくれます。

ダイナミックな藁焼き実演は必見!

お出迎えしてくれたのは店長の山本大貴さん。早速、藁焼きを実演してくれました。たっぷりの藁を使用して、しっかりと焼き目をつけていきます。外側はカリと、中はレアに仕上げるのが美味しさの秘訣。この焼き方のスキルを会得するために、山本さんは3年の年月をかけたそう。焼き場に炎が上がるとたくさんの人が見学に集まってきて、シャッターを切る音が響いているうちに、あっという間にタタキが完成しました。

焼き立てのじんわりあったかい藁焼きタタキ

こちらが塩タタキ。ついさっきまで炎の中にいた鰹です。一切れいただくと、藁焼きの香ばしさに、カツオの旨みが口いっぱいに広がります。焼き立ての、外側のカリっとした食感もたまりません!明神丸のオススメは粗めで甘味のある塩で旨さを引き立たせ、柚子を絞った果汁の「柚子酢」をちょっとつける食べ方。厚めに切ってまだ温かいうちに食べるのが出来立ての醍醐味。絶妙な焼き加減にお店の誇りを感じます。ちなみに生ガツオはお刺身で提供しているので、食べ比べてみるのもオススメですよ。

老舗料理店で味わうカツオのタタキ

酔鯨おすすめの2店舗目は「司食堂」。こちらは、「土佐料理 司」という創業100年を超える老舗で、銀座や赤坂などにも店を持つ格式高い料亭です。ひろめ市場に出しているお店は、本店よりもお手頃価格。司食堂のカツオのタタキも、一本釣りの生ガツオを使用。炭火の遠赤外線効果でムラなく火を入れ、一瞬で燃え上がる藁で炙ることで、中に火を入れ過ぎず、表面のみをカリッと仕上げていきます。

自家製ゆずポン酢で食べる鰹たたき

出来上がったタタキがこちら。10切れ以上の注文で桶に入れて盛り付けしてくれ、雰囲気も抜群です。薬味以外に、高知の郷土料理でよく登場する「リュウキュウ」といった季節野菜も盛られていて地元らしさが感じられます。司食堂では自家製のゆずポン酢と黒潮町産天日塩が付いてくるので、味の変化を楽しみながら食べてみてください。焼き立てのカツオのタタキと塩って、とっても相性がいいんですよ。

地鶏を豪快に楽しめるお店「はっ鳥くん」

ラストは鶏肉料理を中心に、お手頃価格であれこれ食べられる「はっ鳥くん」。店先には軟骨唐揚げ、ひとくち焼き鳥、親どり、四万十鶏上手羽元に鶏皮餃子など、さまざまな鶏料理メニューが並んでいます。また、こちらのお店は専用テーブルが用意されていて、ドリンクをはっ鳥くんで注文すれば、他店の料理の持ち込みもOK。ビールや日本酒の取り扱いが豊富なことでも人気があって、店内には酒瓶もズラリと並んでいます。

甘辛く幅広い年代に人気のチキン

メニュー選びに悩んでいると、人気メニューを店員さんが教えてくれました。それが「四万十地鶏の骨つきチキン」。なるほど、これは1本で大満足のサイズ感。
 
魚だけでなく地鶏も美味しい高知では、「ごめんケンカシャモ」や「土佐ジロー」「土佐はちきん地鶏」など、品種もたくさん。四万十鶏はプリッとほどよい歯応え、余分な脂を抑えたほんのり甘みを感じる肉質が特徴の地鶏で、食べやすさも相まって幅広い年代から人気のある鶏肉です。はっ鳥くんの自家製タレが柔らかい肉に染み込んで、お酒やご飯がすすむ味でした。

ひろめ市場の楽しみ方は十人十色

ひろめ市場、いかがでしたか?本当は全店舗紹介したいくらいそれぞれのお店に個性があり、おすすめしたい料理が山ほどあります。好きなものを好きなだけ飲み食いできる自由さがあって、赤ちゃんからお年寄りまで安全・安心に楽しめる場所。顔を真っ赤にして朝からお酒を飲む大人の横で、制服を着た中高生がランチを食べる不思議な世界が広がっています。
 
「ワイワイ飲みたい時に訪れる場所」という紹介者の藤村さんの言葉通り、一日中賑わうグルメスポット。高知県民も観光客もみんなが一瞬で仲良くなって乾杯する高知の食文化・酒文化も体感できます。高知を訪れる機会があれば、ぜひひろめ市場に足を運んでみてください。

施設情報はこちら

(スポット名)
ひろめ市場

(住所)
高知県高知市帯屋町2-3-1

(電話番号)
088-822-5287


(営業時間)
10:00~23:00(日曜日以外)
9:00~23:00(日曜日)
 
(定休日)
不定休 元旦及び年6日程度休館
 
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

地域ナビゲーター

川崎 萌

四国支部 マルチフォトライター
川崎 萌

高知県いの町在住。おいしいものを追いかけ、絶景スポットを巡りながら、地元・いの町を中心に高知県の情報発信のお手伝いをしています。専門的なお話や自分の感じたことを、初めて記事に触れる人に分かりやすく伝えることを大切にして取材をしています。