鹿児島県奄美市

奄美らしさと開放感に深呼吸!あやまる岬

2022.08.12

日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介するコーナー。今回は、鹿児島県奄美市にある株式会社奄美ぐすく農産の且紘美(かつひろみ)さんに、あやまる岬をおすすめいただきました。

奄美十景のひとつ「あやまる岬」

奄美大島の北部、奄美市笠利にある「あやまる岬」。奄美大島を代表する観光スポットで、奄美十景のひとつでもあります。空港から車で10分ほどで行けるので、レンタカーを借り、まず最初に向かう人も多いスポットです。

遠足での思い出がある、懐かしい場所

そんなあやまる岬を「100年先も残したい場所」に選んだのは、奄美市で仕出し店「キッチンパルム」を営む株式会社奄美ぐすく農産の且紘美(かつひろみ)さん。「子どものころに遠足で行き、友だちと一緒にお弁当を食べたのを覚えています。潮風が気持ちよく、遊具や芝スキーで夢中になって遊んでいました。娘の遠足も同じ場所だったので、話を聞くと懐かしい気持ちになります」と話します。

島の人にとっても、観光客にとっても思い入れがある場所。子どもからお年寄りまで楽しめるあやまる岬の魅力をご紹介します。

世代を超えて思い出を共有できる場所

あやまる岬は、「公園エリア」と「展望台エリア」の2つのエリアがあります。公園エリアには、子どもが遊べる遊具、グランドゴルフ場、サイクリング施設、天然のプール、ソテツの群生地があります。

公園エリアに着いてまず目につくのは色鮮やかな遊具。船をモチーフにした遊具は、2020年にリニューアルされたもの。子どもたちが思いっきり走り回って遊べる場所です。

遊具の横にはサイクリングパークがあり、ユニークな見た目の自転車が並びます。

1回100円で乗れるサイクル列車は奄美大島唯一の“電車”で、トンネルを抜けると、目の前に真っ青な海が広がります。

写真提供/株式会社しーま
写真提供/株式会社しーま

干潮時には天然の“海水プール”にもなるこの海。夏場には監視員もいるので、安心して海水浴が満喫できます。

公園奥にあるグラウンドゴルフ場では、ときには大会が開かれ、笠利中の集落から人が集まることも。この日も、熱心に練習にはげむ方がいました。

他にも奄美らしいソテツの群生地を散策したり、芝生の上をソリに乗って滑り降りる芝スキーを楽しんだりと、老若男女誰が来ても楽しめる、それがあやまる岬観光公園です。

「グランドゴルフ場は昔、野球のグラウンドだったし、展望台のところには国民宿舎がありました」。そう教えてくれたのは、公園スタッフの中村明仁(なかむらあきひと)さん。「先日も国民宿舎に泊まったころの写真を持って、あやまる岬に来てくれた観光のお客さんがいたんですよ」と笑顔で話してくれました。

島のものや情報が手に入るカフェ「MISHORAN CAFE」

写真提供/株式会社しーま
写真提供/株式会社しーま

展望台エリアには、公園の全景と奄美大島の北端まで見渡せる展望台があります。展望台から見える海は、エメラルドグリーンと深い青のコントラストが言葉にできないほどの美しさ!開けた景色と心地よく吹き抜ける風は、南の島の開放感を感じさせてくれます。 


展望台に来たらぜひ寄っていただきたいのが「MISHORAN CAFE(みしょらんカフェ)」です。人気なのは塩豚バーガー。奄美大島の郷土料理である塩豚を現代風にアレンジしたもので、塩漬けにされた豚肉とマッシュポテト、チーズがバンズで挟まれています。

バンズも野菜も、島の人たちがつくったものを使用。豚肉の塩辛さとマッシュポテトやチーズの甘さが絶妙にマッチして抜群においしい!みしょらんカフェでは、他にも奄美大島の郷土料理をアレンジしたり、島の素材を使ったりしたメニューが並びます。

海側がガラス張りになっているので、海を眺めながら食事ができるのもポイント。横の芝生で無料で貸し出しをしているゴザを敷いてのんびりしてもOK。コンセントやWiFiもあるので、中には海を見ながら仕事をしている人もいます。

カフェの奥には、観光で来た人が良かった場所や感想を書いている「旅ポスト」が。子どもの字で書かれたものや、おすすめBEST3を書いているものなどが色とりどりに並びます。

「最近は観光バスもたくさん寄ってくれて、島のことを質問されることも多いです。わたしも知らないことがあるので勉強中です」とカフェスタッフの方は話します。1月から3月はクジラが見えることもあり、「お客さんと一緒に『クジラ見えましたね』と喜べたのはいい思い出です」と話してくれました。

初日の出や星空を見るイベントも開催

写真提供/株式会社しーま
写真提供/株式会社しーま

最近では、MISHORAN CAFE横の芝生スペースを会場に、さまざまなイベントが開かれています。星空がよく見えるあやまる岬の地の利を利用し、2019年には星をコンセプトにした「星空マルシェ」が開かれました。星の解説や星空写真の撮影をしたり、飲食店が星にちなんだメニューを提供したりと、大人も子どもも一緒になって星空を眺める、島の人の気持ちがひとつになったような瞬間でした。

見える景色が東側なので、朝日もきれい。毎年年始には、芝生広場にコタツが設置され、訪れた人がコタツに入りながら初日の出を眺める「コタツDE初日の出」を実施。毎年多くの人が訪れます。

写真提供/株式会社しーま
写真提供/株式会社しーま

外でコタツに入っている光景はなんともシュールですが、風が吹く冬の奄美大島は、思った以上に寒い!。みんなで温まりながら迎えた一年のはじまりは、きっと島の人にとっても思い出になったことでしょう。

「昔はここの砂浜はもっと高くて、上から滑って遊んでいました」と中村さん。今は海流の影響で砂浜が小さくなってしまいましたが、かつての思い出の場所は、芝スキー場として生まれ変わっています。

推薦者の奄美ぐすく農産・且さんは、子どもが帰省したらよく一緒に訪れるそう。「最近きれいになったあやまる岬を見て、娘も驚いていました。『たくさん人が来てくれて、うれしいけど、みんなに知られてしまったのがちょっぴり寂しい』と言っていました」

「昔はこうだった」「子どものころにサイクル列車に乗った」「カフェからクジラを見た」など、いろんな人と世代を超えて思い出を共有できるのも、あやまる岬の魅力なのかもしれません。

100年先も笑顔あふれる場所でありますように

遊具が新しくなったり、カフェができたり、新しくなるものはありますが、あやまる岬から見える景色はずっと変わりません。「映画のように空に向かって両手を広げたくなるくらい、開放感があって気持ち良い場所です」という且さんの言葉を思い出しました。

島の人も観光客も、子どももお年寄りもみんなが集まり、笑顔があふれ癒される場所。それはきっと、これまでずっと変わらないあやまる岬の姿です。これからも変わらず、100年先もそんなあやまる岬が残っていることを願います。

スポット情報

施設名
あやまる岬観光公園

住所
鹿児島県奄美市笠利町大字須野682

電話番号
0997-63-1170(笠利総合支所産業振興課)
0997-63-8885(あやまるみさき観光公園)

定休日
なし

営業時間
あやまる岬観光案内所 9:30~17:00
https://ayamaru.amamin.jp/
MISHORAN CAFE 9:30~17:00(16:45 オーダーストップ)
https://www.instagram.com/ayamarumisaki/


※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

地域ナビゲーター

田中 良洋

奄美群島支部 地域ナビゲーター
田中 良洋

兵庫県出身。東京のIT企業で約4年働いた後に独立。結婚式のイベント企画などを仕事にするが、目の病気を患ったことをきっかけに人生を再考。30歳のときに島の暮らしに魅せられて奄美大島に移住しました。
ライターの他にも、ドローン撮影や映像制作、シュノーケリングガイドや予備校のスタッフなど、肩書きにとらわれず幅広く仕事を展開しています。