鎌倉市

自然美を堪能する散策ルート「鎌倉アルプス」

2022.08.15

この記事では、日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たちからお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介します。今回は、株式会社ニューテックジャパンの白石徳宏さんに「鎌倉アルプス」を教えていただきました。

鎌倉駅近くの自然スポット「鎌倉アルプス」

三方は山、一方は海に面した豊かな自然に囲まれる地、神奈川県鎌倉市。人気のスポットが集まる海沿いは人気のおでかけコースですが、今回は山に足を伸ばしてみましょう。

今回ご紹介するのは、鎌倉駅からも近く気軽に足を運べる場所でありながらも、本格派なハイキングコースが集まる「鎌倉アルプス」。「鎌倉に“アルプス”があるの?」そんな疑問をくつがえす、雄大な自然のスポットです。

地元の行楽行事でも馴染み深いコース

鎌倉アルプスを「100年先に残したいもの」として挙げてくれたのは、鎌倉・七里ヶ浜でキャンプ用品の開発を行う株式会社ニューテックジャパンの白石徳宏(しらいしとくひろ)さんです。

「鎌倉アルプスは地元の幼稚園の卒園行事や遠足で訪れる、まさに地元の人々にとって馴染み深い場所です」と白石さん。白石さんが最初に足を運んだのも、地元の行事だったとか。「一見、そんなところを歩くの?と思ってしまう場所もあり、自然の中を楽しむことができるんです」と、魅力を語ってくれました。一体、どのような場所なのでしょうか。鎌倉駅の北から東西にかけて広がる山々の尾根を歩く、ハイキングコースの魅力をお届けします。

鎌倉に住む人々に愛され続ける散策ルート

鎌倉アルプスとは、鎌倉のハイキングコースの愛称です。そのなかで、代表的なのは鎌倉駅の西側に位置する「葛原岡(くずはらおか)・大仏ハイキングコース」、東側に位置する「祇園山ハイキングコース」、そして鶴岡八幡宮の北側に位置する「天園(てんえん)ハイキングコース」の3つのコースです。今回はそのうちの一つである、眺望スポットの「十王岩」や大平山の頂上を歩く「天園ハイキングコース」を歩きました。

案内してくれたのは、「鎌倉風致保存会」のみなさん。鎌倉市との協働事業として、ハイキングコースの美しい自然を守るとともに、訪れる人が安全にハイキングを楽しめるようにパトロールを行っています。パトロールは、2022年5月31日時点でなんと通算526回目。保存会の常務理事である石山由夫(いしやま よしお)さん、パトロールをご一緒したみなさんにお話を伺いながらコースを歩きました。

「まるで天国の園のよう」な景色

天園ハイキングコースは、地元の方の散歩コースとしても愛されるルート。日本の海軍軍人である東郷平八郎がこの地を「まるで天国の園に遊ぶようだ」と形容したのが、その名の由来だとか。

今回歩いたコースの入り口には、それぞれ鎌倉を代表するお寺でもある覚園寺(かくおんじ)と瑞泉寺(ずいせんじ)。所要時間は2時間ほどで、初心者でも気負うことなく楽しめます。

変化に富む緑豊かなコース

道中ではありのままの自然美を堪能しながら、変化に富む道のりが楽しめます。深い森林の青々とした木々の中を歩いたり、「鎌倉石」と呼ばれる大きな岩場の上を歩いたり。ロープを使って急勾配の山道を登る場所もあります。進む道は明快ながらも、時に高低差があったり岩場の上を歩いたりとバリエーションが豊富。まるで、大自然の中のアトラクションのよう。

鎌倉の地に息づく歴史を感じられるのも、このコースの魅力。もしかしたら、鎌倉時代に生きていた人々も同じ道を歩いたのかもしれないと思うだけで、なんだか感慨深いものです。コースのあちこちに、この地に織りなす歴史のストーリーを思い起こすようなスポットがあります。

山に息づく、かつての暮らし

こちらは「百八やぐら」といわれる、鎌倉最大のやぐら群。「やぐら」とは、鎌倉時代中期から室町時代の頃に使用された、武士や僧侶など身分が高い人を埋葬するために作られたものです。鎌倉の土地が狭いため、当時は山の石場を切ってつくられたのだとか。天園ハイキングコースでは、途中にところどころぽっかりと穴を開けた「やぐら跡」がみられます。

その他にも、大きな「鎌倉石」がざっくりと切られた「石切場」と呼ばれる場所も点在。かつてはやわらかく形作りやすい鎌倉石を切って、塀にしたり道に敷いて使ったりしていたそう。鎌倉で暮らしていた人々の暮らしが浮かぶようです。

「かながわの景勝50選」に選ばれた絶景

コース中、随一の眺望スポットは、「十王岩」からの眺め。十王岩とは、如意輪観音、地蔵菩薩、閻魔大王の三体の像が掘られている岩です。三方を山、一方を海に囲まれている鎌倉の街並みが眼下に広がり、その中央にある若宮大路が由比ヶ浜の海まで不思議なほどにまっすぐ続いていく景色は壮観です。

こちらの景色は、「かながわの景勝50選」にも指定されています。鎌倉のまちを一望できる、ここでしか見ることができない眺め。“古都鎌倉”を眺めながら、かつて同じ景色をみながらこの地を歩んだ人々に思いを馳せました。

しばらく歩き続けると、大平山の山頂に到着。山頂からは、みなとみらい側の景色がよく見え、横浜ランドマークタワーや横浜ベイブリッジなどを見ることができます。大平山は標高159.2mと比較的なだらかな山ですが、鎌倉市の最高峰。ただしスタート地点からの高低差は130m程度であり、山歩きの中ではかなり低く初心者でも抵抗なく楽しめます。

人によって守られ続けるコース

今回ご一緒した鎌倉風致保存会のみなさまは、鎌倉の代表的な3つのハイキングコースの環境保全や安全を守るために活動しています。各コース毎月1回ずつのパトロールや、台風や大雨が発生した時にハイキングルートが安全に楽しめる状態になっているのかを確認しているのです。実際に歩いてみて、枯れて落ちてきそうな木がないか、通行時に危険になる枝がないかなどを細かくチェック。人工的な舗装がなくありのままの自然環境だからこそ、人々の目で、安全に心地よい時間が過ごせるよう、ルートを守っているのです。

四季折々で変化する景色も楽しむ

写真提供/鎌倉風致保存会
写真提供/鎌倉風致保存会

軽装で散策できる気軽さがありながらも、緑豊かな自然に囲まれて進む道のりはまさに心癒されるひととき。春は新緑やヤマザクラ、そして野生の藤、秋は紅葉と、四季折々で楽しめる本格的なハイキングコースです。「ちょっとした運動にもいいし、リフレッシュにとてもおすすめできる場所です」と白石さんが語るこちらの天園ハイキングコース。四季折々に表情を変える自然に囲まれて、心癒されるひとときが過ごせます。

今回ご紹介した天園ハイキングコースも含めて、鎌倉にあるハイキングコースはどこも市街地からほど近くアクセスは抜群。雄大な自然のそのままの姿を残しながらも、地元の人々によって安全に楽しめるように守られているハイキングコース。ぜひ鎌倉の歴史に思いを馳せながら、リフレッシュに訪れてみてはいかがでしょうか。

施設情報はこちら

施設名
鎌倉アルプス(天園ハイキングコース)

住所
神奈川県鎌倉市二階堂29(天園ハイキングコース瑞泉寺口)

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

地域ナビゲーター

大久保 真衣

関東支部 ライター
大久保 真衣

食べること、旅することが大好き。この世の中にある美しいものやおいしいもの、そして想いがあるものを広めることに関わり続けたい。「すてき」と感じたことを言葉で伝えて、読んでくださる方にあたらしい”心ときめく出会い”を贈ります。