宮崎県日南市

海の楽しさを教えてくれた「栄松ビーチ」

2022.02.01

日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介するコーナー。今回は、九州ナビゲーター・長友まさ美さんご自身の「100年先に残したいもの」をご紹介します。それは、宮崎県日南市の「栄松ビーチ」です。 

THE宮崎!な景観「日南海岸」

日本屈指のドライブコース、日南海岸。日向灘に面する、宮崎市から串間市へと続く120kmにおよぶエリアです。太平洋の雄大な景色を眺めつつ、沿道のフェニックスの並木やパームツリーが南国ムードを盛り上げてくれます。晴れた日にドライブをすると、空の青さと海の青さに吸い込まれそうになるほど。日によってはもちろん、時間によっても変わる景色は、いつ訪れてもハッとさせられます。雄大な太平洋は見るだけでも美しいのですが、水面下にはさらに色鮮やかな世界が広がります。

日南市の「100年後に残したい風景は」と考えたとき、「美しい地球を残したい。自然の生態系が守られ、きれいな空気で安心して生きられる世界には、美しい海が必須だ!」と感じました。そして、私に海の楽しさを教えてくれた原点でもある「栄松ビーチ」の魅力をお届けします。

水中にはさらなる海の魅力がたくさん

はじめまして!宮崎県のふるさとLOVERSナビゲーター 長友まさ美です。私が初めてダイビングを体験したのは、かれこれ10年以上前。ここ日南市の栄松ビーチでした。海面からでは分からないユニークな地形、大小様々な魚、ゆらゆらとゆれるサンゴ。天気や差し込む光によって、同じ海でも違った表情を毎回見せてくれることにすっかり魅了されました。


しかしながら、妊娠・出産、そして子育てに奮闘するなかで、すっかり海に潜ることができなくなり、5年間も海に潜っていないため、ダイビング技術を覚えているかなという一抹の不安も。そんな私を強力サポートしてくれたのが、宮崎市青島にあるダイビングショップ「NiceDive(ナイスダイブ)」のお二人です。

こちらが代表の田中智史さん(左)と水越真彩(まあや)さん(右)。Nice Diveでは、初心者からベテランのダイバーさんまで楽しませてくれます。

水越さんは、宮崎の海の魅力に惹かれて、横浜から移住してきたインストラクターさん。ほぼ初心者のわたしを水越さんがインストラクション、田中さんが水中カメラマンとして同行していただきました。

初心者から上級者まで魅了する栄松ビーチ

この日は、あいにくの小雨。すこし肌寒い日でしたが、「レッツゴー!」という元気な掛け声とともに船が動き出すと、心が躍りました。10分ほどで今回の目的地、栄松ビーチにたどり着きます。

エメラルドグリーンが広がる海は浅瀬のため初心者も安心。世界中を潜ったダイバーさんをも魅了するその一番のポイントは、なんといっても生態系の豊かさです。

宮崎の海は、関東の温帯系の魚も、沖縄の熱帯系の魚もどちらもいる中間地点。そのなかでも日南市の栄松ビーチは「大島」(写真上)という小さな島が波からの侵食を守ってくれ、サンゴが育つのでサンゴを住処にする魚がたくさんいるのです。

この大島の浅瀬で、まずは基本の3つの動作を練習します。ゴーグルに半分だけ海水をいれて、鼻から呼吸をして水をぬく「マスククリア」。もし、水中でゴーグル内に水が入ってきてしまったときに、自分で水をぬいて正しく装着することができないと呼吸ができないので、必須スキルです。

次に、タンクから酸素を吸うレギュレーターがはずれた場合の対処法や耳抜きなど。寒い!怖い!と身体が緊張していたのですが、インストラクターの水越さんの丁寧なガイダンスと、田中さんの「やれる、やれる!イメージが大事!」という掛け声で、少しずつ緊張がほぐれてきました。基本動作を思い出して、早速、海に潜りました!

海中は簡単に行ける宇宙?!

バディとして手を握ってくれる水越さんが、「こっちへいきましょう〜」と身振りで案内してくれます。テーブルサンゴやハナサンゴが広がり、様々な魚が泳いでいます。

「この栄松ビーチには、ハードコーラルとよばれる硬いサンゴ、ソフトコーラルとよばれる柔らかいサンゴがあります。ハードコーラルは緑系が多く、ソフトコーラルは色が豊かで、赤、青、黄色のサンゴです。だからこそ、ぱっとみた風景の色彩が豊かなのが特徴。以前、ソフトコーラルを研究している方と潜ったときにも、その色彩の鮮やかさ、種類の豊富さに驚かれていました」と田中さん。

そんな種類豊富なサンゴに住んでいる色とりどりの魚たち。大島が荒波から守ってくれる穏やかな海域は、小魚たちも住みやすい環境で、私たち人間にとってもダイビングが楽しくできるエリアでもあるのです。

こんな幻想的な風景に出会えることも!水越さんいわく、「簡単に行ける宇宙ってかんじ」と海中での体験を言葉にされていましたが、まさに水中で浮きも沈みもしない中性浮力の状態でゆっくり泳ぐと、飛んでいるような不思議な感覚になります。

すばしっこい魚も多く、なかなかカメラにおさめられない光景を、目にしっかりと焼き付けていきます。

水越さんは、「水中世界の魅力を伝えられるように、いま、水中カメラの技術を磨くことをがんばっています。陸で撮るよりも何倍も難しいけれど、海の中の美しさをそのまま共有したいんです」と話します。

今回は、穏やかな海のほうを潜りましたが、大島の東側、沖の方にいくと大きな魚に出会うことも多く、ニザダイ、メジナの群などに出会うこともあります。運がいいと、こんな大きなウミガメに遭遇することもあります。スケールが大きく圧巻の景観だときいて、ダイビングスキルを高めていつか行ってみたいと強く感じました。

青い海を子どもたちに残したい

大学4年の時からダイビングをはじめた田中さんは、約20年以上も宮崎の海の中を知っています。「実際、生態系そのものが変わってきているという感じはあります。宮崎の海もより熱帯に近づいていて、今までは見なかった魚と出会うことが近年、増えてきました。台風が来るサイクルも変わってきて、今は一つひとつの台風のスケールも大きく、サンゴがひっくりかえって海の中の地形が変わるほど威力が強くなっています。大雨や災害も続いていますが、海のなかのダメージも大きいのです」

海、空、空気、森、川、人の暮らし、すべてはつながっています。田中さんは、青い海を子どもたちに残したいという思いから、小学校で出張授業などを行い、海の素晴らしさと大切を教えています。

今回、久しぶりに栄松ビーチで潜ってみて、ほんの少し勇気をだして海中に潜るだけで、普段目にする海よりもさらに美しく幻想的な光景に出会いました。たった2〜3m潜るだけでもたくさんの種類の生物に出会えたということは、もっと深く潜れるようになったら、より多様な生き物に出会うことができるんです。観光の方にも宮崎在住の方にも、ぜひ遊びにきていただきたいです。

ダイビングは10歳から体験できるので、家族でチャレンジしたら、絶対に忘れらない思い出になることでしょう。海の中の異世界を、あなたの目と身体で味わってみてください。

施設情報はこちら

栄松ビーチ
宮崎県日南市南郷町中村乙4178-1

ダイビングショップ NiceDive
宮崎県宮崎市青島2-1-11
0985-65-7232
10:00〜20:00

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

地域ナビゲーター

長友 まさ美

九州支部 地域ナビゲーター
長友 まさ美

人生の物語に耳を傾け、その方の可能性や魅力を引き出すことが大好き。旅好き、本好き、美味しいものが大好き。美しさと機能性を兼ね備えたもの、伝統工芸品、職人さんの一点物が大好物です。愛しいものを伝え、人生に彩りを添えられることを願って発信中。暮らしを味わい、楽しみつくす日々を生きています。