静岡県藤枝市

花を愛する人々が迎えてくれる蓮華寺池公園

2021.12.29

日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介するコーナー。今回は、中部ナビゲーター・いちぼし堂 山口 敦子さんご自身の「100年先に残したいもの」をご紹介します。静岡県藤枝市の中から推薦するのは、まちを象徴する自然豊かな蓮華寺池公園。まちと公園の魅力をお伝えいたします。

「花と水と鳥と笑顔」がテーマ 利用者ファーストの総合公園

静岡県のほぼ中央に位置する藤枝市は、古くから東海道の宿場町として栄え、整った都市機能と自然豊かな風土をあわせ持った暮らしさに定評のあるまちです。

その魅力のひとつに市民と花をつなぐ藤枝市ならではの取り組みがあります。緑化活動や花の育成によって訪れる人を歓迎し喜ばせる。そんな好循環を実現している最たる場所 蓮華寺池公園を「100年先に残したいもの」としてご紹介いたします。

はじめまして。ふるさとLOVERS静岡支部ナビゲーターの山口 敦子です。蓮華寺池公園は、野外音楽堂、大型遊具、キッズパークなど多目的に利用できる施設が充実しており、地元の人に親しまれてきました。園内の奥には市内から駿河湾まで一望できる360度大パノラマの古墳の広場をはじめ、散策しながら景観をじっくり楽めるスポットがたくさん。カフェや雑貨店、売店もあるため、飽きることなくあっという間に時間が過ぎてしまいます。

この園の最大の見どころが藤の花です。私が初めてこの公園を訪れたのは9年前、ちょうど藤まつりが開催中の時期でした。園内に広がる藤棚に一斉に咲き誇る満開の花に目を奪われ、時が止まった感覚を今でも鮮明に覚えています。

地域の生活に溶け込む憩いの場所

今回、蓮華寺池公園について、藤枝市役所の大塚拡さんと市井将平さんにお話を伺いました。お2人は「花と緑の課」で市内の緑化推進や公園整備管理業務などを行っています。大塚さんにとって蓮華寺池公園は幼少の頃から身近な存在でした。「あらたまって出掛けるレジャースポットというよりは、生活の一部としてそこに在ることが当たり前の場所。気のむくまま広い園内をかけ回り、水辺の生き物たちと触れ合い親しんできました」と大塚さん。藤棚の下でお花見を楽しむ人々の姿は、初夏の風物詩として昔からおなじみの光景だったそうです。

私にとっての蓮華寺池公園は、ライフステージが変わってもずっと楽しむことができる憩いの場所。1人でも大勢でも子連れでも、いつ訪れても見ごたえ遊びがいたっぷりで気持ちよく利用できます。公園を訪れているたくさんの人の笑顔や、思い思いの過ごし方を楽しむ姿が癒しと安心感を与えてくれて、来てよかったなとしみじみ感じる大切な場所です。

藤の花のために作られた桃源郷、藤の里広場

藤枝市の象徴といえば、その名の通り藤の花。市の花に指定されています。園内には20種類250本以上の藤があり、見頃は4月中旬から5月上旬。そして、園内北側にはとっておきの場所「藤の里広場」があります。特に表立った案内はなく、山の斜面を越えた先にあるので、園内からその存在をうかがい知ることはできません。まさに知る人ぞ知るスポットなのです。

窪地一面に咲いた満開の藤の花を見渡すと、その幻想的な風景への感動と、秘境に辿り着いたようなワクワク気分が味わえます。

ここに咲く藤の花は、立木、藤棚、鉢植え、やぐらを高く組んで支えている樹齢30年以上の大木から、白やピンクの可愛らしい低木など、色も形もさまざま。地元の愛好家たちの手によって丁寧に育成・管理されています。広場内の遊歩道は円状につくられているので、木々の間をくぐり抜けて観賞している感覚が楽しく、藤の花に身を包まれるような心地よさ。広場内に立ち込める花のあまい香りにつられて呼吸も深くなります。

蓮華寺池公園は藤棚の新設や拡張にも力を入れているということで、初めて訪れた時に比べ花が増えてますます見応えがありました。年に一度、たった半月程度しか見頃を迎えることができない藤の花のために、日々丁寧に管理してくれている藤枝市や市民のことを知ってから見るこの公園の藤の花からは、美しさだけではなく尊さも感じられます。そして、これからもこの風景を味わいに何度も足を運びたいと思うのです。

花と鯉のぼりがゆれる彩り豊かな初夏の祭典、藤まつり

公園の藤の花の開花に合わせて、毎年開催されるのが「藤まつり」です。県内外から多くの人が訪れる蓮華寺池公園のメインイベントでは、野外ステージでヒーローショーやダンスフェスが催され、桃色のぼんぼりと出店が立ち並び、多くの来園者でにぎわいます。

藤まつりの開催日はこどもの日も近いことから、色とりどりの鯉のぼりが池の上を一列に横断するように飾られます。大きな鯉のぼりが連なって初夏の風にそよぐ姿は圧巻。藤まつりには海外からの来園者も多く、野外音楽堂のまわりには大勢の人が集まって陽気な雰囲気。流れる音楽が一体感を生んで、会場全体が盛り上がっていました。異文化との交流ができるのも大きな公園の催しならではですね。

ふじえだ花回廊基本構想で花と人の想いがつながる

藤の花ことばは「歓迎」。蓮華寺池公園には一年を通してさまざまな花が咲いているため、季節問わず訪れる人を楽しませてくれます。「藤の花の時期が終わってもさみしさを感じることがないように、絶えず何かしらの花が見頃を迎えられる状態に管理されています。花の育成のほとんどは有志の市民の手によるもの。「ふじえだ花回廊基本構想」の一環として、そうした市民による花の育成活動が円滑にすすむようサポートしています」と市井さん。花の開花状況をこまめに撮影して市のホームページで発信するなど、目線は利用者ファースト。園内をくまなく見て歩く姿から、蓮華寺池公園を大切にする想いが伝わってきました。

大人になるにつれさらに味わい深くなる藤の花

子どものころよく遊んだ公園の砂場の上に、藤棚の屋根がありました。それは強い日差しから子どもたちを守ってくれるありがたい存在だったのですが、私は藤の花をぶどうの花だと思っていたので、いつ実るんだろう?と不思議に思ったことはあっても、その優美な姿、風情ある景色を味わう感性は持ち合わせていませんでした。

あれから多くの年月が経ち、大人になってから見る藤の花の様子は、とてもひと言では言い表せません。たくさんの言葉を頭の中で巡らせながら、自分の中に花を慈しむ気持ちが育っていることを深く感じさせてくれる味わい深い花です。そんな魅力にあふれた藤の花を育てている方たちの想いが受け継がれ、100年先も蓮華寺池公園が多くの人に喜ばれる憩いの場所であることを願っています。みなさんもぜひ、花を愛する人々が迎えてくれる、この素敵な蓮華寺池公園に足を運んでみてくださいね。

施設情報はこちら

施設名
蓮華寺池公園

住所
静岡県藤枝市若王子1丁目1-12

電話番号
054-643-3487

営業時間
24時間

休業日
無休

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

地域ナビゲーター

山口 敦子

静岡支部 地域ナビゲーター
山口 敦子

静岡県静岡市在住。好きなことは自然散策、間取り図を眺めること。現在は、「いちぼし堂」でリモートワーク(月に数回出社)実践中。子どもの頃夢中になった宝探しのような視点で、取材先の隠れた魅力を発掘して伝えていきます。