香川県小豆島町『島宿真里』

小豆島の醤でもてなす小さな島宿

2022.08.29

香川県小豆島町 × 島宿真里

日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになれる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。今回訪れたのは、瀬戸内海に浮かぶ小豆島にある「島宿 真里」です。

醤油蔵が立ち並ぶ地域に佇む

写真提供/島宿真里
写真提供/島宿真里

400年以上、醤油づくりが受け継がれつづける香川県の小豆島。醤油の香りが漂う、醤油蔵が集まる「醤油蔵通り」をくぐり抜けると、古民家をリノベーションした小さな宿「島宿真里」が佇んでいます。宿の玄関から仰ぎ見ると、そびえる大嶽(おおだけ)が印象的です。

島宿真里は、8部屋ほどの小さな宿。部屋はそれぞれに内装が異なり、名前はそれぞれ「ひし」「お」「で」「も」「て」「な」「す」「さと」と、宿のコンセプトそのものとなっています。もとは真里の宿主である眞渡康之(まわたりやすゆき)さんの母、里枝(さとえ)さんが、営む民宿でした。その後、康之さんが後を継ぎ、リノベーション。古いものを大切にしながら、新しいものを融合させた「島宿真里」に成長させました。

マネージャーの中野菜見さんに宿を案内してもらいました。館内には宿主の家で使われていた建具や、醤油蔵で使われていた古材などが所々に活用されています。

手作りのお菓子でおもてなし

チェックイン後は、囲炉裏でお茶とお菓子のおもてなし。いたるところに散りばめられた花のしつらえや、温かみのある調度品が魅力的です。

ウェルカムスイーツは中野さんの手作り。訪れた日はあんみつでした。小鉢に愛らしく盛られた生姜のアイスクリーム、いちご餡、赤紫蘇の寒天、柑橘。お好みで山椒シロップをかけていただきます。島の旬が詰まった、優しい甘味に心がほぐれました。

ゆったりとした特別室で贅沢なときを

写真提供/島宿真里
写真提供/島宿真里

お茶とお菓子でほっと一息ついた後は、お部屋へ。今回宿泊するのは「お」の間。離れにあるメゾネットタイプの特別室です。一階は掘りごたつ付きの和室居間。

写真提供/島宿真里
写真提供/島宿真里

2階は寝室です。テラスからは古民家が並ぶ景色越しに、遠くの海を眺望できます。ベットの脇には書斎が。窓に差し込む朝の光で読書なんていうのも贅沢な時間ですよね。

地下には坪庭に面した洋間があります。柔らかな光が差し込み、和室とはまた違った趣に浸れます。

島の風に当たりながら露天風呂でくつろぐ

各部屋に源泉かけ流し温泉が付いていますが、別棟に貸切温泉「里枝温泉」もあります。囲炉裏の間の裏から草履に履き替え、中庭へ。庭のしつらえを楽しみながら、里枝温泉ののれんをくぐりました。

里枝温泉には竹の湯と石の湯があり、今回は竹の湯に入ることにしました。自家源泉の温泉は無色無臭で保湿効果のある「メタケイ酸」という成分が多く含まれているそうです。柔らかな肌触りで心身ともにリラックスできました。

露天風呂では、葉が擦れ合う音や、鳥のさえずりを聞きながら、静かに贅沢な時間が過ぎていきます。

思い思いに楽しむ、島時間を

入浴後は、囲炉裏の間に並ぶスタッフ手作りの果実酒から好きなものを選んで、味わうことも。レモンやすもも、すだちなど島の季節がつまった果実酒。あれもこれも試したくなってしまいます。

囲炉裏の間の近くにある本棚には宿主の親戚が集めていたという古い蔵書が並んでいました。なかなか見かけることのない古い装丁。思わず手に取って読んでみたくなります。いくら時間があっても足りなくなりそうです。

島の恵みを島の醤油でじっくり味わう醤油会席

写真提供/島宿真里
写真提供/島宿真里

夕飯は築90年以上の古民家を改装した母屋へ。個室に加え、料理人の手仕事がのぞけるカウンター席もあります。

写真提供/島宿真里
写真提供/島宿真里

真里では醤油会席という名の通り、醤油を主役にした会席が登場。島の新鮮な野菜や旬の瀬戸内の魚の刺身を、4種の醤油でいただきます。

写真提供/島宿真里
写真提供/島宿真里

生あげ醤油や、二段仕込みの醤油などのほか、スタッフが目の前でもろみをドリップして、滴り落ちてきた醤油で刺身をいただく、といったなんとも粋なパフォーマンスも。生産者や職人と関係を深めていくことを大切にしてきた真里は、あるものを仕入れるのではなく、ときには、職人と話し合いながら、今までにないつくり方を提案することもあります。例えば、生あげ醤油は通常の工程では必要な加熱処理をせずに仕上げてもらったのだとか。

写真提供/島宿真里
写真提供/島宿真里

この日の〆は、季節限定のオリーブご飯。土鍋の蓋をあけると、もくもくと立ち上っていく湯気とともに、炊きたてのご飯にのったオリーブの実が見えました。出汁ごはんに小豆島産オリーブオイルをまわしかけていただきます。出汁とオリーブオイルが調和し、まったりとふくよかな風味が口の中で広がりました。意外にもオリーブオイルは和食にも合うのです。スタッフが伝えてくれる、島の食材の話を聞きながら、料理をじっくり堪能し、旅の一日を締めくくりました。

島の野菜をたっぷり使った朝食で健やかに目覚める

写真提供/島宿真里
写真提供/島宿真里

鳥のさえずりとともに目を覚ました翌朝。部屋のテラスから見える島の朝の風景を楽しみ、母屋に朝食へ向かいます。竹かごにたくさん盛られた色とりどりの小鉢のお膳が運ばれてきました。朝からたっぷりと島の恵みをいただいて、パワーチャージ!

旅のときめきを持ち帰る土産物

いつまでも宿でゆっくりくつろいでいたいところでしたが、チェックアウトの時間がやってきました。宿の滞在の思い出やお土産にと、ギャラリーでは真里オリジナルの調味料やそうめんなどが並んでいます。

小豆島ならではの最高のおもてなしを心がけつつ、島らしさを残した素朴なサービスを大切にしていることを、中野さんのお話を聞いたり、親しみやすいスタッフの接客を受けたりする中で感じました。日常のご褒美に、小豆島の旅のお供としておすすめしたい宿です。

施設情報はこちら

施設名
島宿真里
 
住所
香川県小豆郡小豆島町苗羽甲2011
 
電話番号
0879-82-0086

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

ふるさと納税で

旅に出かける
この宿に泊まる

地域ナビゲーター

坊野 美絵

四国支部 ライター
坊野 美絵

大阪生まれ。旅で訪れたことをきっかけに、2013年に香川県小豆島に移住。現在は文と写真で魅力を伝えることを大切にライターとして活動しています。香川県を中心に観光・医療・事業承継・農業などテーマはさまざまにインタビュー記事を執筆。私生活では暮らしに根ざした手仕事を、少しずつ実践していくことを楽しんでいます。