徳島県『和の宿 ホテル祖谷温泉』

絶景と湯と食で心身を満たす、祖谷の秘境宿

2022.09.06

徳島県三好市 × 和の宿 ホテル祖谷温泉

日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになれる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。今回訪れたのは、徳島の秘境・祖谷にある、和の宿 ホテル祖谷温泉です。

祖谷渓の崖に立つ、海外客にも人気の宿

徳島県三好市の山奥にある、日本三大秘境に数えられる祖谷(いや)。祖谷渓をはじめ、自然の壮大なスケールで見る人を圧倒するこの地は近年、外国人観光客にも人気が高く、四国の辺境に位置しながら、世界から注目を集めています。

そんな祖谷で営み、秘境が育む温泉と食文化、そして絶景が堪能できるのが「和(な)の宿 ホテル祖谷温泉」。祖谷の一大観光スポット「祖谷のかずら橋」から車で15分ほど山道を行くと、祖谷渓の崖にポツンと立つ建物が見えました。秘境の中の秘境ぶりに期待が膨らみます!

創業は1972年と老舗でありながら、時代のニーズに合わせて建物のリニューアルを重ねたホテル祖谷温泉は、間近に見ると凛とした美しい佇まい。山奥にある宿のイメージが、いい意味で裏切られました。

ホテルを案内してくれたのは、ホテル祖谷温泉の藤川敏彦さん。「何よりもまず、体感してほしいのが源泉かけ流しの湯です」。藤川さんに促されるように、チェックインして早速、祖谷の名物として名高い「渓谷の湯」を目指しました。

ケーブルカーで谷底へ。待ち受ける源泉掛け流しの名湯

「渓谷の湯」は、傾斜角42度のケーブルカーに乗って、谷底を目指した先にある、源泉掛け流しの温泉。東京・八王子にある高尾山のケーブルカーでも傾斜角約31度というのだから、どれぐらい急なのかが想像つくかと。

「今のケーブルカーは3代目になります。ケーブルカーがなかった時代は、この崖を歩いて降りて温泉を目指したそうです。戻ってくるときには汗びっしょりですよね。それでも浸かりたいと思えるぐらい、最高の泉質なのですよ」と藤川さん。

写真提供/ 和の宿 ホテル祖谷温泉
写真提供/ 和の宿 ホテル祖谷温泉

化粧水のようにとろりと肌をすべる源泉は、加温していないため、少しぬるめ。渓流がすぐそばを流れる景色のなかで、極上の湯に浸かるぜいたくな湯浴みです。どれだけでも入っていられそう。

2021年春リニューアルの絶景展望風呂もおすすめ

「本館にある展望風呂もおすすめなので、ぜひ」。藤川さんのアドバイスを受けて、2021年3月に誕生した「雲遊天空の湯(そらのゆ)」も、いただきました。清潔感のあるオシャレな更衣室から浴室のドアを開けたとたん、飛び込んできたのは巨大な絵のような絶景。周囲の風景が湯船に映り込む粋な景色に、思わず「うわ〜〜っ」と声が漏れてしまいました。

鳥のさえずりと湯の注ぐ音だけが流れる静寂のなか、ゆったりと湯に浸かる。身も心もじゅわ〜っとほどけていきます。

2人だけの時間を楽しむ、とっておきの客室「ふたりじめ」

ホテル祖谷温泉の客室は、全20室。サービスや配慮が行き届いた、小さなホテルです。今回利用した客室は、2018年にリノベーションした「ふたりじめ」。「2人の時間を大切にしてほしい」という想いで用意された和モダンな空間は、しっとりと落ち着いた内装で、窓から望む祖谷渓の絶景となじんでいました。

寝室の壁に、見たことのない木のモニュメントを発見。「実はこれ、スピーカーなのですよ」と藤川さん。宿セレクトのインストゥルメンタルの、重厚で繊細な音が空間を満たします。

何よりうれしいことに、客室にも温泉の露天風呂が。夜も朝も、気軽に湯に入り、テーブルとチェアを備えたバルコニーで涼めるなんて、最高!時間も空間も、そしてこの絶景も“2人占め”できる。まさに、コンセプト通りのお部屋ですね。

祖谷の風土をたっぷり取り込んだ、会席料理を夕食に

写真提供/ 和の宿 ホテル祖谷温泉
写真提供/ 和の宿 ホテル祖谷温泉

温泉三昧のあとは、空腹を抱えて夕食会場へ。渓谷を望みながらいただくのは、ジビエ、川魚、旬の野菜や豆腐、こんにゃくといった祖谷の秘境をたっぷり感じることができる会席料理です。いくつかの会席料理の中から一番人気の「阿波特選」をセレクトしました。多彩な盛り付けと味で、一品一品に趣向を凝らした料理は、季節ごとにメニューが変わります。「祖谷の風土をそのまま感じてもらえるよう、ここらしい料理を心がけています」と藤川さん。地元の食材を引き立てた、奥深い味わいに大満足。

客室に戻り、ふたたび、バルコニーの露天風呂へ。すると、漆黒の頭上に広がるのは満天の星。遮るものがない山奥の空の、その星の数とまたたきの美しさに息を飲みました。一生、忘れることはないだろうな。そう思えるほどの夜空の大パノラマを仰ぎ見ながら、湯に浸かり、景色に耽り、あっという間にときが過ぎていきました。

和洋セレクト&セミビュッフェ付きの朝食で朝を迎える

写真提供/ 和の宿 ホテル祖谷温泉
写真提供/ 和の宿 ホテル祖谷温泉

気持ちのよい目覚めで迎えた翌日も、早朝の渓谷を見渡す空間で朝食をいただきます。和食か洋食かをセレクトでき、そのどちらにもセミビュッフェがついてきます。まずは、祖谷ならではの「そば米ぞうすい」で胃袋を慣らしました。

写真提供/ 和の宿 ホテル祖谷温泉
写真提供/ 和の宿 ホテル祖谷温泉

竹籠に小鉢を配した和の膳は、細やかで美しい盛り付け。たっぷりお野菜がとれるお膳で、おいしく、健やかな朝を迎えることができました。

祖谷を愛する人たちが営むからこその、心地よさ

案内してくれた藤川さんは、地元の出身。東京の大手出版社で働いたのち、2014年にUターンし、このホテルで働きはじめました。「毎日風景が違うんですよね。雨が降った後の山霧、渓谷の虹に出会った日は感激です。今でもこの景色に圧倒されます」と藤川さん。

秘境の宿という響きからは想像できない、洗練されたホテルは、華美ではない自然体の接客もとても心地よく、まさに“和みの宿”。最高の湯と景色と食と、この地を愛する人たちのおもてなしで、この上なくリフレッシュする秘境ステイをぜひ、体感してみてくださいね。

施設情報はこちら

施設名
和の宿 ホテル祖谷温泉

住所
徳島県三好市池田町松尾松本367-28

電話番号
0883-75-2311

公式URL
https://www.iyaonsen.co.jp/


※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

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地域ナビゲーター

ハタノエリ

四国支部 ライター・エディター
ハタノエリ

宮崎県の海のそばで生まれ育ち、高校卒業後は大学、仕事、夫の転勤を理由に
全国各地10カ所以上で暮らしました。2017年、愛媛県松山市に移住。現在は、ライター、エディター、コピーライターとして、取材対象の言外からあふれるものを拾いながら、ひと・もの・ことを、ことばで表現しています。