広島県尾道市『ONOMICHI U2 HOTEL CYCLE』

海運倉庫を再生したサイクリストの拠点宿

2022.06.30

広島県尾道市 × ONOMICHI U2 HOTEL CYCLE

日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。今回訪れたのは、サイクリストの聖地・しまなみ海道がある広島県尾道市の「ONOMICHI U2 HOTEL CYCLE」です。

楽しみ方いろいろ!全国初の“自転車と泊まれる宿”へ

広島県尾道市から愛媛県今治市までの島々を結ぶ、通称「しまなみ海道」。全長70kmの道のり にはサイクリングロードが整備され、“サイクリストの聖地”として国内外から多くの観光客が訪れ ます。広島側から愛媛側へと渡る際に出発点となるのが、新旧混在の魅力あふれる尾道市。

写真提供/ONOMICHI U2
写真提供/ONOMICHI U2

JR尾道駅から海沿いを西側へ進むと、県営の海運倉庫をリノベーションした複合施設「ONOMICHI U2(オノミチユーツー)」が見えてきます。尾道商店街や千光寺のある東側に賑わいが生まれやすいため、反対側の西側にも何かシンボリックなものができればと、2014年に開業し ました。施設内には自転車と一緒に泊まれる宿「HOTEL CYCLE(ホテルサイクル)」のほか、レ ストランやカフェ、ベーカリーなどが並びます。

写真提供/ONOMICHI U2
写真提供/ONOMICHI U2

施設を手がけたのは、広島出身の建築家・谷尻誠(たにじり まこと)さん。「サイクリストフレンドリー」をコンセプトにつくられた宿は、自転車に乗ったままホテルへとチェックインすることが可能 です。室内に“愛車”を持ち込むのもOKで、パブリックスペースには自転車のメンテナンスができるリペアスペースを設置。館内には、自転車の販売やレンタルサービスを行なうサイクルショップ「GIANT STORE」もあります。

尾道をイメージした部屋で愛車と一緒に寛ぐ

写真提供/ONOMICHI U2
写真提供/ONOMICHI U2

部屋へ入ると、思わず見惚れてしまうシンプルかつシックなインテリア。造船業がさかんな尾道をイメージして、船や港を思わせる調度品を採用しています。目に見える場所に愛車を置いておきたい人にうれしいサイクルハンガーもあり、設備の使い方がわからない時は、スマートフォンで QRコードを読み込めばチャットで質問ができます。フロントに行くことなく非接触で対応してもらえるので、便利で安心!

写真提供/ONOMICHI U2
写真提供/ONOMICHI U2

自然素材を内装に用いた客室には、この土地の伝統産業を素材にした家具やアメニティがそろいます。バスルームには、シャンプーやコンディショナーなどのほか、肌触りの良い今治タオルも。日中、尾道観光をした人なら、まちの風情と楽しい時間を振り返りながら、芯からリラックスすることができそうです。

瀬戸内グルメが並ぶカフェやレストランも

部屋の中をととのえたら、ぜひ館内を探検してみましょう。夕食までに時間があるなら、まずは「Yard Cafe(ヤードカフェ)」でホッと一息つきたいところ。瀬戸内の小規模ロースターの豆を使った シングルオリジン(ひとつの農園や生産者、精製方法などを単位として一銘柄としたコーヒーのこと)のコーヒーや、瀬戸田レモンで作るレモネード、フレッシュオレンジジュースなどが味わえます。

おやつメニューの一押しは、ピエール・エルメによる愛らしいマカロン。特にONOMICHI U2とピエール・エルメ・パリがコラボした「マカロン シトロン オノミチ」は、ここでしか食べられない限定フレーバー。口いっぱいに爽やかなレモンの風味が広がり、疲れた身体を癒やしてくれます。

写真提供/ONOMICHI U2
写真提供/ONOMICHI U2

夕食は、瀬戸内グリルとワインがメインの「The RESTAURANT(ザ・レストラン)」へ。新鮮な地素材を炭火でダイナミックにグリルした料理はイタリアンがベースで、小豆島のオリーブオイルや弓削(ゆげ)島の塩など、近隣の調味料を使用。手をかけ過ぎることなく、食材本来のうま味を生かした品々はワインとの相性も抜群で、ついつい飲み過ぎてしまいます。

たっぷりとワインを堪能したいところですが、あえてお腹に余力を残して、窓越しに「尾道水道」の 光景が眺められるカウンターバー「KOG BAR(コグバ)」へ。こちらのバーの特等席は、ペダル&サドルの付いた「コグチェア」。カウンター上のライトと連動していて、漕ぐとその動力で灯りが点灯します。グラスを重ねながら、そんな遊びに興じてみるのも夜のお楽しみのひとつです。
 
どこへ出かけなくとも、館内だけで十分に楽しく過ごせる「ONOMICHI U2」は、あっという間に時間が経ってしまうこと間違いなし。思い思いに施設をエンジョイしましょう。

朝食にも昼食にも便利なベーカリーをチェック

翌日の朝食はレストランでモーニングを楽しむのもありですが、「Butti Bakery(ブッチベーカリー)」で焼き立てパンを購入するのも魅力的。天然酵母・ルヴァン種を用いたパンが彩り豊かに並びます。

おすすめは地素材をふんだんにのせた「のっけトースト」。季節により内容は変わりますが、春ならば「新タマネギとチーズ」や「ひろしまハーブ鶏と菜の花のグラタン」など、旬の野菜や地元畜産 品がぎゅっと凝縮されています。海沿いのテラスで食べたり、その日のお昼用に購入しておくのも 良さそうです。

お土産選びに最適なショップはイベントも開催

チェックアウトは11時と比較的遅めなので、まだまだ館内を楽しんでみてはいかがでしょう。「瀬戸内の暮らし」をテーマにしたライフスタイルショップ「SHIMA SHOP」は、日常を豊かに彩る本や雑貨、グリーンがずらり。帆船に使われる帆布をアレンジした「SILVER」のバッグや小物、岡山県笠岡市「石田製帽」の天然素材ストローハットなど、お土産用にも自分用にも欲しくなる目移り必 至のラインアップです。

さらにショップ内のフリースペースでは、イベントや展覧会を開催。訪れた時は、アルル国際フェスティバル大賞受賞を機に世界から脚光を浴び、「光の芸術家」とも称された写真家・田原桂一(たはら けいいち)さんの写真展が行なわれていました。思いがけず美しい作品の数々に出合うことができ、心の栄養もばっちりチャージ!

時の流れを感じ、心と身体のサイクルを整える

サイクリストもそうでない人も、思わず連泊したくなる「ONOMICHI U2 HOTEL CYCLE」。近年は ワーケーション需要も高く、仕事をしながら尾道観光を楽しむ人たちの利用も多いのだとか。施設名の「CYCLE」は、自転車のみならず、「時間の流れ」や「循環」を指す言葉なのだそう。日 常の慌ただしさを忘れ、ゆったりとした時の流れを感じながら、心と身体のサイクルを整えてみて はいかがでしょうか。

施設情報はこちら

施設名
ONOMICHI U2 HOTEL CYCLE

住所 
広島県尾道市西御所町5-11

電話番号
0848-21-0550

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各 施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

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地域ナビゲーター

浅井 ゆかり

中国支部 広島県ライター
浅井 ゆかり

タウン誌をメインに、ジャンル問わず取材執筆(時々撮影)を手がけるフリーライターです。広島に嫁いで十数年になりますが、広島生まれ広島育ちの夫よりこのまちに詳しい自信あり! 取材に応じてくれる人、記事を手にしてくれる人へ、ちょっとした幸せや新鮮な驚きを届けられるようなプラスの言葉を紡いでいきたいです。