岐阜県高山市『日本の宿 ひだ高山 倭乃里』

囲炉裏で味わう高山の古き良き日本の隠れ宿

2022.04.28

岐阜県高山市 × 日本の宿 ひだ高山 倭乃里

日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになれる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。今回訪れたのは、自然の中にひっそりとたたずむ岐阜県高山市の「日本の宿 ひだ高山 倭乃里」です。

自然豊かな歴史と文化が息づくまち岐阜県高山市

写真提供:日本の宿 ひだ高山 倭乃里
写真提供:日本の宿 ひだ高山 倭乃里

高山は岐阜県の山間に古い町並みが残る山岳都市です。JR高山駅から徒歩10分ほどの古い街並みには数多くの小さな博物館や、江戸時代にさかのぼる木造の商家が並んでいます。1600年代半ばに始まった歴史あるお祭り「高山祭」は、匠の技が生きる「屋台」と呼ばれる豪華な金色の山車とからくり人形を見に、国内外から大勢の観光客が集まります。

そんな高山市の山間にある1万5000坪という広大な敷地で営む「日本の宿 ひだ高山 倭乃里(わのさと)」。築160年以上の豪農の館を移築した本館では、大きな囲炉裏を中心にしたサービスで、訪れる人たちに古きよき日本の風情を愉しませてくれます。

築160年以上の豪農の館を移築した古民家の宿

「日本の宿 ひだ高山 倭乃里」は、本館と合掌造りの離れ、合わせて8部屋のみの宿。すべて飛騨の木材と伝統工芸・春慶塗(しゅんけいぬり)がふんだんに使用された贅沢な空間です。広大な敷地には、ほぼ手付かずのまま自然が残り、訪れる旅人に四季の移ろいを感じさせてくれます。

写真提供:日本の宿 ひだ高山 倭乃里
写真提供:日本の宿 ひだ高山 倭乃里

入り口の暖簾をくぐり、建物の中に入って目に飛び込んできたのは土間の真ん中にどっしりとかまえる大きな囲炉裏。ゆらゆらと揺れる焚き火のぬくもりに、長旅の疲れも癒されました。

飛騨の木材と伝統工芸が生きる合掌造りの離れ

支配人の栃本文(とちもと あや)さんの案内のもと、本館から小道を抜けて、世界遺産の白川郷の合掌造りを移築した離れの「苅安/位山(かりやす/くらいやま)」に向かいます。

この日はあいにくの雨模様。連日続いた積雪が雨で少しとけだしていましたが、合掌造りの建物が並ぶ景観はまるでタイムスリップしたかのような古き良き日本の風景がそこにはありました。

こちらが離れの「苅安/位山(かりやす/くらいやま)」です。飛騨の匠による伝統的な建築法で作られた建物は、木の温もりが感じられる広々とした空間。大きな一枚ガラスの窓からは、庭園内を流れる清流・宮川のせせらぎが絵画のようにうつしだされ、ボーッと外を眺めながら一息着くと心を和ませてくれるようです。こちらの離れには韓国式の床暖房「オンドル」の部屋もあり寒い冬でも温かく、各客室には総檜風呂もついているのでのんびりと豊かな時間を楽しめます。

敷地内に源泉がある岩風呂と総檜風呂で旅の疲れを癒す

お部屋で一息ついたら、宿ご自慢のお風呂に向かいました。敷地内に源泉がある「飛騨位山(くらいやま)温泉」は、弱アルカリ性低張性冷鉱泉の柔らかな泉質をひいた岩風呂と総檜風呂の2つです。

総檜風呂は、戸を開けた瞬間に檜の香りに満たされます。少し熱めのお湯は日々の忙しさにたまった疲れを癒し、お風呂を出た後もぽかぽかと身体の温かさが持続しました。

地元の食材をふんだんに使った四季折々の食事

「日本の宿 ひだ高山 倭乃里」の料理には土地のもの、旬のものを季節の彩りとともに提供しています。風味豊かな山菜やみずみずしい川魚はどれもここでしか食べられない一品。1つひとつがまるで芸術作品のように美しく、食べるのがもったいないくらい。

こちらはA5等級飛騨牛のお肉。地元のブランド牛はその場で焼いていただくと、舌の上でとろけるような柔らかさと肉のうまみが口いっぱいに広がります。

夕食後は囲炉裏を囲んで語り部とのひととき

食後は、本館の囲炉裏では「かっぽ酒」がふるまわれます。かっぽ酒は地酒を竹筒で温めたもの。おちょこにした青竹にお酒を注いだ時の「カポカポ」という音が名前の由来なのだそう。かっぽ酒をいただきながら、地元の語り部の中嶋紀夫(なかしま のりお)さんが、「“飛騨”という地名の由来は諸説あります。岐阜のうねうねと広がる山襞(やまひだ)からとか、田舎や辺境を意味する“鄙(ひな)"が転じたのだとか……」など、飛騨高山の民話や文化などを教えてくれました。常連のお客様のなかには、中嶋さんに会うのを楽しみに来られる方もいるのだとか。

「この炎を見ていると時間が経つのもあっという間。あえて、ここには時計を置いていないんですよ」と中嶋さん。そこに偶然居合わせたもの同士が囲炉裏を囲みながらいつの間にか打ち解ける、まさに旅の醍醐味ですね。

古き良き日本のおもてなしをあじわう旅

朝食は飛騨の伝統的な郷土料理を中心とした滋養たっぷりのメニューが並びます。高山名物の「朴葉味噌(ほおばみそ)」は自家製の味噌と牛肉、野菜などを絡めたもの。朴の葉に乗せて炙ると香ばしさがたまらなく食欲をそそる郷土料理です。あつあつの味噌をごはんの上にのせていただくと、普段は朝食を抜いてしまう人でもごはんがぱくぱくと進みます。

写真提供:日本の宿 ひだ高山 倭乃里
写真提供:日本の宿 ひだ高山 倭乃里

高山の自然と古民家の暮らしを楽しめる「日本の宿 ひだ高山 倭乃里」。初めて訪れた人もまるで昔からこの宿を知っていたような、なんとも懐かしい日本の風情を味わうことができます。せわしない日常から大自然の中に身を置いてエネルギーチャージ。心も体も癒やされる空間で過ごせば、明日からの日常にも活力がわいてくる。そんな大人の隠れ里のような場所がここにあります。

施設情報はこちら

施設名
日本の宿 ひだ高山 倭乃里

住所
岐阜県高山市一之宮町1682

電話番号
0577-53-2321

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

ふるさと納税で旅行に行く

地域ナビゲーター

小澤 志穂

中部地方 地域ナビゲーター
小澤 志穂

愛知県豊橋市生まれ・在住。趣味の旅行をきっかけにライターとして東海地域のおもしろさを発信しています。ガイドブックには載っていない、ローカルなグルメや絶景スポットを訪れるたびに「また行きたい」とその町の良さを再発見します。そんな地域の魅力をお伝えしていきたいです。