京都府京都市『HOTEL THE MITSUI KYOTO』

三井総領家の邸宅跡で日本の美しさを体感

2021.10.08

京都府京都市 × HOTEL THE MITSUI KYOTO

日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。 今回訪れたのは、日本独自の伝統と美意識に触れ、ともに過ごすことができる京都市のホテル「HOTEL THE MITSUI KYOTO」です。

三井総領家の「時の記憶」がある土地に誕生

雅な宮廷文化が彩る京のまちにあって、江戸時代の空気感を今に伝える二条城。1603年に徳川家康によって築かれた城で、威風堂々とした佇まいには武士の誇りがみなぎります。その二条城と堀川通の向かいに、2020年11月「HOTEL THE MITSUI KYOTO」が誕生しました。

ホテルが建っているのは、三井総領家(北家)2代当主の三井高平が17世紀末に邸宅を構えた場所。しかも、江戸時代から明治初期まで、三井の統轄機関「大元方(おおもとかた)」が置かれたという重要な土地です。天下を取った徳川家の二条城と対面する豪商・三井家の邸宅。その「時の記憶」がある地に、再びよみがえった三井スピリッツ。ロケーションをひもとくだけで、三井不動産グループのフラッグシップホテルとしての矜持を感じさせます。

ホテルへ一歩足を踏み入れれば「日本の美しさと-EMBRACING JAPAN’S BEAUTY-」というブランドコンセプトをあらゆるシーンで体感することになります。建物、庭、インテリア、そしてホテルマンたちの細やかな気遣い。

日本独自の伝統と美意識に触れ、ともに過ごすことができるホテル、それが「HOTEL THE MITSUI KYOTO」です。

アンバサダーと館内を巡るアートツアーに参加

前段で「二条城と対面している」と書きましたが、ホテルの正面入り口は、大通りである堀川通ではなく、ホテルの敷地でいうと二条城とは反対側、油小路通側に。これは三井総領家時代にならったもので、邸宅の入り口が油小路通側にあったことから「油小路邸」とも呼ばれていました。

油小路通を進むと、見えてくるのがホテルの正面入り口「梶井宮門」です。ここから同ホテルで実施している「アンバサダーと巡るHOTEL THE MITSUI KYOTOアートツアー」がスタート。約45分間でホテルの歴史やアートなど見どころを紹介してくれる無料プログラムです。

国の登録有形文化財にも登録される「梶井宮門」

まずはこの「梶井宮門」について聞かなくては!

「この梶井宮門は、河原町今出川にあった梶井宮御殿のために元禄16年、1703年に造営され、その後、大原に移転されていたものが昭和10年、油小路邸に移築されました。門の高さは7.4m、柱間は4.5mの大規模なもので、登録有形文化財(建造物)に登録される貴重な文化財です」

扉までのワクワク感を高める小径

門をくぐると、小さな玉石や切り石を用いた「霰零(あられこぼし)」という技法を使った小径が、建物までL字型にのびています。そして脇には、モウソウチクやアカマツ、イロハモミジといった木々が彩りを添える小さな前庭が。白河石の十三重塔や丹波鞍馬石、貴船石も配されていますが、これらも油小路邸の遺構です。こういったスペースからも三井総領家時代の景色に思いをはせることができるのですね。そうして進んでいくと、いよいよホテルの扉が開きます!

アートの出迎えと「庭屋一如」を体感するラウンジ

ロビーに入り、目の前に現れたのは、緋色をしたアート。陶芸家・泉田之也(いずみたゆきや)氏によるインスタレーションが出迎えてくれます。

さらに進むと今度は視界が開けて、ラウンジとその向こうに広がる庭園が目に飛び込んできます。この解放感!京都の街中とは思えません。ラウンジの天井高はロビーの2倍もあるのだそう。ロビーとのギャップもあって、非日常感に一瞬にして浸ることができました。

庭の水盤に面して、ラウンジの床から天井まで全面が窓。天候の条件が整えばすべてを開け放って、ロビーからラウンジ、そして庭までが一つの空間に。同ホテルがデザインの特徴にあげている「庭屋一如(ていおくいちにょ)」(庭と建物が一体となって、美しく調和している様子)を、実感することができるでしょう。

見て、そして歩いて楽しむ池泉回遊式庭園

続いてアンバサダーさんと一緒に庭園へ。「池泉回遊式といって、池を備えた庭を歩きながら楽しんでいただけるつくりで、油小路邸時代にもそういったお庭がありました。サクラやイロハモミジが植えてありますので、季節によって違う風情が感じられます」。庭の中には散策ができる小径や紅葉を眺めるための「もみじ台」が用意されるなど、庭を楽しむ工夫が随所に。手水鉢(ちょうずばち)や沓脱石(くつぬぎいし)など三井家から継承したものも使用されており、三井家の歴史がここでも後世に引き継がれています。

日本建築の美意識があふれる「四季の間」

庭を囲んで配された空間のなかでも、かつてこの地にあった油小路邸の美意識を最も受け継いでいるのが総ヒノキ造りの「四季の間」です。油小路邸には「四季之間」と呼ばれた奥書院があり、三井家の当主が客人を迎える場所でした。その資料や写真を分析し、この「四季の間」がある日本建築は建てられました。

格調高い一間奥行きの床の間は、三千家のひとつである武者小路千家家元後嗣・千宗屋(せんそうおく)氏が室礼を監修。京の歳時記や三井家にちなんだ美術品が毎月飾られています。「レストランの別室としての利用や結納やお食い初めなど家族の行事にもご利用いただけます」

茶居で、立礼式のお茶をいただく体験も

アートツアーは、このほか、資料や図書が展示してあるライブラリーや立礼式でお茶を提供する茶居などの解説もしていただいておよそ45分。ホテル館内には、ここで紹介したもののほかにもたくさんのアートや三井家ゆかりの品々がちりばめられていますが、解説文などは設置されていないので、アートツアーはぜひ参加したいプログラムです。

このアートツアーのあとで、茶居でお茶を立てていただくことに(宿泊者のみの特典、予約制・有料)。茶居も武者小路千家家元後嗣・千宗屋氏が監修し、三井家とも縁が深い永楽善五郎氏(16代即全)の茶道具を使用しています。シャッシャッと茶せんの音が響くのを聞いていると、ゆっくり心がほどけていきます。

二条城ビューの客室にもアートが

パブリックスペースだけではなく、もちろん客室にもアートが飾られています。どれも三井総領家にゆかりの文化財をモチーフにされていて、例えばベッドルームのヘッドボードに飾られた西陣織は円山応挙の国宝「雪松図屏風」を題材にしたもの。宿泊者の美意識を刺激する仕掛けが随所にあるのですね。

そして、特筆すべきはやはり景色。堀川通に面していて二条城を一望できる「ニジョウスイート」は、窓の向こうに二条城の正門である東大手門や東南隅櫓(とうなんすみやぐら)を見ることができます。まさにベストポジション。世界遺産を眺めながら、美意識の詰まった部屋で寛ぐひとときは最高の思い出になるはず。また、庭に面した客室では、四季折々の美しい木々が目の前に。市街地のホテルとは思えない、落ち着いた緑の癒しに心が安らぎます。

2つのレストランの装飾にも注目

庭に面した1階には、ガストロノミー鉄板「都季-TOKI-」とイタリア料理の「FORNI(フォルニ)」、ふたつのレストランがあり、こちらにも日本の美意識が詰まってます。

ガストロノミー鉄板「都季-TOKI-」は、フランス料理と日本料理両方の食材と調理法を融合したスタイルで、国産の黒毛和牛、京野菜をはじめ、国内外の食材を厳選して提供。レストラン内部は、日本建築を踏襲しながらも現代らしい洗練も感じる心地よい空間で、京友禅や西陣織のアートが飾られています。

イタリア料理の「FORNI」にも、清水焼のアートが飾られ、格天井、障子などが取り入れられています。また、庭の景色を壁にあしらわれた鏡が映し出し、庭との一体感を感じるつくりになっています。

「HOTEL THE MITSUI KYOTO」には、館内の隅々まで、歴史と文化を引き継ぐ精神、そして京都の伝統への敬意が満ちていました。江戸時代からこの場所に息づき、根を張り続けていた日本の美意識を、このホテルで体感してみませんか?

施設情報はこちら

施設名
HOTEL THE MITSUI KYOTO

住所
京都府京都市中京区油小路通二条下る二条油小路町284

電話番号
075-468-3100


※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

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文と編集の杜

近畿支部 企画・編集・ライティング
文と編集の杜

京都、二条城の近くに事務所を構える「文と編集の杜」。福岡県出身で、高知県、静岡県と全国を点々としてきた瓜生朋美が設立した編集・ライティング事務所です。関西を中心に、歴史、グルメ、インタビューと、幅広く取材・記事執筆を手掛け、地域のさまざまな魅力を発信中。