山口県長門市

感動の瞬間に行ってみた!東後畑棚田 編

2021.08.10

そのとき、その瞬間でなければ決して出会えない日本の絶景を紹介する「感動の瞬間」シリーズ。この記事では、日常や普段の旅行ではなかなか見ることのできない感動スポットに、ふるさとLOVERSナビゲーターが旅人となって訪問。その土地に旅がしたくなる周辺情報と一緒に、みなさまをご案内します。今回の感動の瞬間は、山口県長門市の「東後畑棚田と漁火鑑賞」がテーマです。

おすすめモデルコース

「感動の瞬間 ×東後畑棚田」

「感動の瞬間」公式サイトより
「感動の瞬間」公式サイトより

『宵待ちの幻想風景、東後畑棚田と漁火の共演』

  12:00 地元漁師から届く一本釣りの活イカを味わいに

時間を忘れて、ただただ見惚れてしまう。そんな風景が、長門市油谷エリアにあります。海と空の色を棚田に映し込み、夕日が落ちた宵の瞬間、海に浮かぶホタルのような幻想的な漁火と共演します。感動は静かに心へ響き、言葉さえ失ってしまうほど。そんな東後畑棚田の絶景に、ふるさとLOVERSナビゲーターの河津が出会ってきました。周辺エリアのおすすめ情報も必見です!

山陽新幹線や中国自動車道を経由し、国道316号線を北上してたどり着くのが、日本海に面した長門のまち。青く澄んだ海辺に立つと、おいしい海鮮の予感に胸が高鳴ります。今回の目的である東後畑棚田へ向かうのは夜。せっかくならそれまで、長門の海の幸や美しい景色を巡って楽しみましょう。


まずお目当ては、長門近海が誇る、活きのケンサキイカ。油谷湾(ゆやわん)温泉 ホテル楊貴館にある「和風レストラン あまのゆ」では、贅沢にも姿造りで楽しめます。活イカは、漁火を灯して一本釣りする川尻漁港の漁師から仕入れるもの。注文後にいけすから揚げられ、1パイまるまるお刺身で登場。美しい透明感と歯切れの良さ、噛んだ時の甘味は、この鮮度でしか叶いません。そう断言したくなる、一級品です(3300円〜、サイズにより異なります。天候や仕入れ状況によるので、事前の予約がおすすめ)。

「窓の外に広がる油谷湾の眺めも自慢です。この湾は日本海にありながら、おおむねゆったりとした凪で、昼は青々と、夕刻は茜色に染まってとてもきれいですよ」。教えてくださったのは、ホテル楊貴館の取締役、岡藤明史(おかふじ あきふみ)さん。

スタッフと一緒に自らも唎酒師の資格を取得し、4月には県内25蔵の銘酒をそろえた「日本酒BAR 海と月」を館内にオープンしました。「お料理と温泉が楽しめる日帰りセットプランもご用意しています。湯上がりには、山口県が誇る日本酒やノンアルコールの甘酒などもお楽しみください」。日本酒バーの開店時間は15時と、早めなのもうれしいですね。

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施設名

和風レストラン あまのゆ(油谷湾温泉 ホテル楊貴館内)

住所

山口県長門市油谷伊上10130

電話番号

0837-32-1234

営業時間

11:00〜14:30(土日曜、祝日は〜15:00、L.O.は各30分前)、17:00〜21:00(L.O.20:00)

休業日

無休

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  14:30 山海の幸が豊富な長門のおいしいものを発掘

海と山の自然に囲まれた長門には、おいしいものがまだまだあります。LDK(リビング・ダイニング・キッチン)をイメージして、2018年にオープンした「道の駅 センザキッチン」。特産品販売のほか、実際に舌で楽しめるレストランやカフェ、おもちゃ美術館など、長門じゅうから食や情報が集まっています。この魅力を帰っても楽しめるよう、スタッフの小枝桃子(こえだ ももこ)さんに、お土産アイテムをセレクトしていただきました。

まずは、長門ゆずきち 柚子胡椒(450円)。センザキッチンのオリジナル商品で、長門特産のかんきつ「ゆずきち」を使った爽やかな香りが特徴です。ゆずきちの皮と青唐辛子、塩に加え、長門産の黒糖を隠し味にコクとうま味がプラスされています。「お刺身や冷しゃぶ、長門名物の焼き鳥にも薬味として好相性。鶏肉を揚げたりグリルする時、下味の隠し味に入れるのもおすすめですよ」。小枝さんの提案は、商品購入の際にとても参考になるので、迷ったら尋ねてみましょう。

こちらも売り切れるほど人気が高いという、日置(へき)ノ発酵グラノーラ(700円〜)。長門産の米粉や甘酒、生姜シロップなどを素材に無添加で作られたご当地グラノーラ。プレーンはもちろん、かぼちゃやゆずきち、地元の味噌など種類が豊富で、まとめ買いするリピーターが多いとか。「2020年、米農家さんがウンカ被害で打撃を受けました。お米を生かして価値を生み出し応援しようと、2021年2月に発売されたものなんです」。

想いがこもった商品こそ、手に取りたくなるもの。センザキッチンの後ろでたゆたう穏やかな波を見て、やさしい気持ちになりました。

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施設名

道の駅 センザキッチン

住所

山口県長門市仙崎4297-1

電話番号

0837-27-0300

営業時間

9:00〜18:00

休業日

元日、第2木曜(祝日と8月は営業)

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  16:30 朱い龍が現れたような鳥居の連なりが圧巻!

さて、いよいよ絶景ポイントが詰まった油谷エリアへ。まずは元乃隅神社で、絶景を生み出す神秘に触れてみましょう。ここは、2019年にCNN(アメリカの国際ニュースチャンネル)で「日本の最も素晴らしい場所36選」として紹介され、国内外の人を惹きつけてやまないスポットです。

細い道を離合に気を付けながら車を走らせると、海の方から朱い龍が現れたかと見紛う圧巻の光景が待っていました。

1987年から10年かけて奉納された123基の鳥居が、日本海にそびえる断崖絶壁から100m以上にわたってうねるように並んでいます。断崖には、波が打ちつけられて大きく吹き上がる「龍宮の潮吹」という現象が見られ、とてつもないパワーが!また、敷地内にある高さ約6mの大鳥居上部には賽銭箱が設置されていて、賽銭を投げ入れることができた人は願いごとが叶うともいわれています。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

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施設名

元乃隅神社

住所

山口県長門市油谷津黄(つおう)498

電話番号

なし  ※お問い合わせは、長門市観光コンベンション協会(観光案内のみ) 0837-27-0074

参拝時間

5:30~17:30(変更の可能性あり)  ※夜間の立ち入り・撮影は禁止

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

 

  19:30 夕陽から漁火へと移り変わる光景の美しさに、時間を忘れる

元乃隅神社のパワーに圧倒された後は、西日に誘われるように東後畑の棚田へ。移動は、車で10分ほど。向津具(むかつく)半島を背景に、人々の手と知恵で築き守り続けてきた約600haの棚田が、傾斜地に折り重なっています。ここは、農水省が発表した「日本の棚田百選」にも選ばれた景勝地で、日本海を見下ろす珍しいロケーションも特徴です。

5〜6月はちょうど田に水を張っていて、人工の光のない自然の色を映し込み、とてもきれい。最高の瞬間に立ち会いたいと、各地からカメラマンやギャラリーが集まってきます。私が到着したのは、日が沈む直前のセピア色の時間。漁火を目指してきましたが、この景色でさえも「うわ〜!」と叫んだくらい絶景です。見回すと、カメラマンやカップルたちは既にスタンバイ済み。なるほど、ここは、2〜3時間の中で青→茜→漆黒と、移り変わっていく絶景のグラデーションを楽しむのがコツなのですね。

これは、東屋がある場所。棚田は西へ向いており、夕日・棚田・水平線が織り成す景色は、どこをどう切り取っても美しく、ただただ海への方向を眺めるばかり。

日が落ち、瑠璃色に包まれた頃、半島から小さな光が海上に現れました。漁火です。漁火とは、魚をおびき寄せるために漁船の上でたく灯りのこと。この時期、油谷界隈では、イカを釣る船が多く出港します。一つ、ふたつ、どんどん増え、ビュースポットから棚田を手前に見ると、田に集まってきたホタルのようにも見えます。

訪れた人は一様に、あまり言葉を発せず、心の落ち着きや感受性を楽しんでいるかのよう。この幻想風景に身を置く時間があまりに心地良く、あっという間に時間が過ぎていきました。

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施設名

東後畑棚田

住所

山口県長門市油谷後畑410-1

電話番号

なし  ※お問い合わせは、長門市観光コンベンション協会(観光案内のみ) 0837-27-0074

長門の海は、日中の青も、宵の漆黒も、とてもきれいで穏やかでした。日本海は荒れることもありますが、油谷湾はおおむね凪だとか。日々せわしなく過ごす生活の中で、心を潤すこんな時間を持てることは稀です。1日の終わりにゆっくり落ちていく太陽に向き合い、壮大な自然美に身を預けているうち、心の凸凹も溶けて穏やかに。感動の時間を静かに迎えられたことは、長門旅の醍醐味だとしみじみ感じました。

時間という概念をどこかに置いて、いつまでも眺めていたくなる絶景を体感しませんか?

地域ナビゲーター

河津 梨香

中国支部 ふるさとLOVERSナビゲーター
河津 梨香

山口県萩市在住。広島で15年ほど編集やもの書きをし、地域おこし協力隊として山口県に帰ってきました。生活の中にある本質的なものに魅了され、その地域ならではの魅力や人々が紡いできたものを受け継ぎ、実践したいと思っています。萩のそんな部分に光を当てるリトルプレス『つぎはぎ』を、仲間3人と作っています。