鹿児島県奄美市『ティダムーン』

奄美の自然と伝統文化を伝える宿

2021.08.19

鹿児島県奄美市 × ティダムーン

日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。 今回訪れたのは、世界自然遺産にも正式登録された奄美大島にある「ティダムーン」です。

朝日が一番きれいに見える場所に建てられたホテル

きらきらと輝く青い海や、のどかな畑。奄美大島から南の方へ車を走らせると、思わず窓を開けて風を感じたくなる風景が広がります。10分も走らず見えてくるのが、海沿いに建てられたホテル『ティダムーン』。ホテルに込められたこだわりや思いなど、営業担当の太田善文(おおたよしふみ)さんと太田香織(おおたかおり)さんにお話を伺いました。

ホテルのドアが開くと、まず目に飛び込んでくるのが大きな窓の向こうに広がる海!晴れた日には喜界島まできれいに見えます。「先代がホテルを建てる場所を探すとき、朝日が一番きれいに見えるところを探していたんです」。東向きに建てられたホテルからは、水平線からのぼる朝日がきれいに見えます。

美術館で憧れの大島紬の着付け体験を

撮影/福澤昭嘉
撮影/福澤昭嘉

ティダムーンを運営するのは、「大島紬美術館®」。こちらの会社は、本場大島紬を製造する織元です。大島紬とは、奄美大島を代表する伝統工芸品です。糸を先染めし、30〜40の工程を経て、1年近くかけて作られる織物です。世界三代織物のひとつともいわれ、着物が好きな人にとっては憧れのものでもあります。

大島紬に携わる職人が、心を込めて製作したたくさんの作品をより多くの人に見ていただきたいとの思いから、ホテル2階には「大島紬美術館」を設けています。秋名柄(あきながら)、龍郷柄(たつごうがら)といった古くから伝わるデザインのものはもちろん、白の糸に色鮮やかな柄が描かれた紬など、さまざまなデザインの大島紬を展示。美術館の中は、ホテルの中とは思えないほど荘厳な空間で、大きく広げて飾られた大島紬はため息が出るほど美しく、堂々としています。

美術館では、美術品として大島紬を楽しむこともできますし、着付け体験をすることもできます。「初めて袖を通された方は、その軽さや着心地の良さに驚かれています」と話すのは美術館スタッフの星加麗子(ほしかれいこ)さん。最近では若い人でも着物に興味を持つ人が多く、若い人の感性から学ぶことも多いと言います。

「おめでたい場でも着られますし、普段着としても楽しめるのが大島紬です。一度着てみると、その素晴らしさを実感していただけると思います」。奄美大島の文化を語るには欠かせない大島紬。美術館に大きく広げて並べられている大島紬は、見るだけでも鮮やかで存在感がありますが、詳しくお話を聞くと、より貴重で守っていかなければならないものだと感じました。ティダムーンに泊まったなら、ぜひ美術館を訪れて奄美大島の伝統に触れていただきたいです。

素材を活かし、島の文化を伝える料理の数々

ティダムーンでは、夕食や朝食もこだわりのポイントのひとつです。夕食には、奄美大島の郷土料理をアレンジして、体に良いものをご提供しています。たとえば奄美大島を代表する郷土料理『鶏飯』では、隣の島、喜界島(きかいじま)のゴマを使い、ウコンなど地場で採れる薬膳食材も使用しています。ほかのお店ではあまり入れることが少ない島にんじんも入っていて、より彩豊かな鶏飯に。優しく味わい深いスープは、ひと口飲むだけでじんわりと身体に染み渡っていきます。今までの概念に囚われず、どうすればよりおいしく、体に良いものができるのか。飽くなき探求心が感じられます。

「島は食材の宝庫です。いかに素材を大切にして、季節のものをその季節にご提供できるかを考えながら、日々改良を重ねています」と太田さんは語ります。近海で獲れた新鮮な海の幸をふんだんに使った色鮮やかな料理は、宝石のように輝いています。目でも舌でも楽しめるティダムーンの夕食。ひと口ずつゆっくりと味わってみてください。

朝食は、味噌汁や卵焼きなど、素朴な料理が並びます。まるで田舎のおばあちゃんの家で食べるような朝食。これがお客さまからは大人気!「懐かしい」と心にじんわり沁み渡るような味です。実はこの朝食、料理長が担当しているのではなく、大島紬を織る織子(おりこ)さんが調理を担当しています。つまり、島で生まれ育ったお母さんたちが作った朝食なのです。島の人たちが普段食べているものをアレンジして出した朝食。卵焼きに奄美大島の発酵飲料であるミキを混ぜてみたり、季節の地野菜を炊き合わせて煮物を作ったり、隣の集落で取れたもずくを出したり。島の人の日常が味わえるのがこの朝食の特徴です。

「この取り組みは、創業以来変わらず続け、お客さまからは『ほっこりする』と言っていただいています。大島紬を取り巻く環境は年々厳しくなっています。生産数が減り、職人の数も少なくなっています。そのような中でも、大島紬に従事する人たちの生活が少しでも安定するようにと思い、この取り組みを始めました」。ティダムーンでは大島紬の職人たちに活躍する場を提供し、さまざまな経験を大島紬の製作に活かしてほしいと願っているのです。

都会の喧騒を忘れてくつろげる時間を

撮影/福澤昭嘉
撮影/福澤昭嘉

お部屋は全部で27部屋。団体での宿泊も可能です。それぞれのお部屋にテーマがあり、内装も少しずつ違います。今回はムーンスイートと一村スイートをご紹介いただきました。

ムーンスイートは大きな窓から集落の守り神である立神(たちがみ)が見えるスイートルームです。統一感のある色合いで、ハイセンスながら落ち着けるお部屋です。全面ガラス張りの浴室にはJAXSON製のバスタブを使用。太平洋を一望しながら、極上のリゾート気分が味わえます。大きなソファーに腰掛けて見える窓いっぱいの青い海。まるで大きなスクリーンで見る映画のワンシーンのようです。

一村スイートは画家・田中一村が愛した奄美大島の大自然を楽しむため、山側に設けられています。部屋の中には田中一村の作品(リトグラフ)などが飾られています。テラスからは奄美大島の豊かな山が見え、風や鳥の声を感じながらソファーに座ると日常の喧騒から解き放たれてリラックスした気分に。落ち着いた照明と田中一村の絵を見ていると、部屋にいながら奄美大島の森の中にいるよう。ずっと部屋にいても特別な時間が過ごせそうなほど、洗練されて高級感のあるお部屋です。

大切なのは大島紬を守り伝えていくこと

「残したいものは大島紬なんです。商品だけが残っても意味がない。職人さんの生活を守り、廃れさせないこと。伝統や文化を守りながら成長していきたい」と太田さんは話します。

ティダムーンはスタッフの多くが、大島紬に関わる人たちです。掃除をする人は着付けができたり、バスの運転手は泥染や染色ができたり。オーシャンビューできれいなホテルなだけでなく、ひとつひとつの取り組みから奄美大島の文化を守る使命感を強く感じました。

大島紬が好きな人はもちろん、文化や伝統に興味がある人には大満足間違いなしのホテルです。奄美大島に来るなら、大自然と文化の両方を感じられるティダムーンに泊まってみてはいかがでしょうか。

施設情報はこちら

施設名
ティダムーン

住所
鹿児島県奄美市笠利町平1260

電話番号
0997-63-0006

休業日
無休


※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

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地域ナビゲーター

田中 良洋

奄美群島支部 地域ナビゲーター
田中 良洋

兵庫県出身。東京のIT企業で約4年働いた後に独立。結婚式のイベント企画などを仕事にするが、目の病気を患ったことをきっかけに人生を再考。30歳のときに島の暮らしに魅せられて奄美大島に移住しました。
ライターの他にも、ドローン撮影や映像制作、シュノーケリングガイドや予備校のスタッフなど、肩書きにとらわれず幅広く仕事を展開しています。