
愛知県名古屋市『THE TOWER HOTEL NAGOYA』
2021.04.01
日本には旅の目的地になるホテルや、ふるさとに帰ったような気持ちになる旅館があります。この記事では、人々の記憶に残る「とっておきの宿」をふるさとLOVERSナビゲーターが訪問し、その魅力をたっぷりとご紹介します。今回訪れたのは、「古代オホーツク浪漫の旅」をコンセプトとした北海道網走市のリゾートホテル「北天の丘 あばしり湖 鶴雅リゾート」です。
東北海道の玄関口の女満別空港から車で約20分、北海道網走市呼人(よびと)地区の小高い丘に建つ「北天の丘 あばしり湖 鶴雅(つるが)リゾート」は、「古代オホーツク浪漫の旅へ」をデザインコンセプトとしたリゾートホテル。眼下に広大な大地と網走湖が広がるホテルの中に入ると、そこは斬新なスタイルのリゾート空間です。
5世紀から9世紀にかけて、オホーツク沿岸一帯にはオホーツク人と呼ばれる人々が暮らしていました。彼らは同時期にあった続縄文文化や擦文(さつもん)文化とは異なる独特のオホーツク文化を持ち、海岸の近くに五角形や六角形をした大きな竪穴式住居を建て、クジラやアザラシなどの海獣を捕獲する海洋漁猟民族でした。しかし、オホーツク人の痕跡は歴史上から忽然と消えてしまったので、流氷と共に現れ去った幻の民族と呼ばれています。
「北海道で13のリゾートホテルと温泉旅館を展開する鶴雅グループが大切にしているのは、北の大地の大自然とアイヌ文化やオホーツク文化が織りなす、この地ならではの『地の物語』です。『北天の丘 あばしり湖鶴雅リゾート』の館内でも、自然と共生してきた先人たちに感謝と敬意をこめて、オホーツク人の文化や歴史を発信しています。居心地の良いリゾート空間のなかで、幻の民であるオホーツク人の文化や歴史ロマンを感じてください」という清水勇男(しみずいさお)支配人。
精緻な木彫り作品に囲まれた「北天の丘 あばしり湖鶴雅リゾート」の1階にあるメインラウンジ「回」は、そんなオホーツク人の竪穴住居をモチーフにした幻想的な空間。ラウンジの中央には暖炉があって、ゆらゆらと燃え上がる炎が木彫のオオワシの影を土壁やバーカウンターへと映し出します。厳かなムードに包まれた「回」は「古代オホーツク浪漫」への入り口。くつろいだ気分で炎を眺めていると、オホーツク人の足音が聴こえきそうです。
そのほかにも、1階にはラウンジバー「縄文」、足湯も楽しめるモニュメント「火焔の塔(かえんのとう)」、椅子のギャラリー「偶(ぐう)」など多彩な施設があります。
今後はリゾートを満喫しながら、テレワークで仕事をする「ワーケーション」が可能なテレビ会議システムやワークスペースなどの施設も充実させていく予定だそうです。
全80室の「北天の丘 あばしり湖鶴雅リゾート」では、和洋室や和室、ツインルームなどの8タイプの客室をご用意。すべてのお部屋にはオホーツク文化の文様をあしらったパーテーションや壁面装飾などが施されています。
中でも写真の特別フロア「古の座(このざ)」の客室は、全てに露天風呂と専用の庭が設けられ、とても贅沢な時間が過ごせるお部屋になっています。
タワー棟の上層階にある和洋室からは網走湖といった、雄大な風景が楽しめます。このほか、2室あるワンちゃんルームでは愛犬と一緒に宿泊が可能です。
各部屋のクローゼットに用意されている部屋着も、北方民族の衣装をイメージしたオリジナルのもの。「古代オホーツク浪漫の旅」というコンセプトに満たされたお部屋では、心からリラックスした時間が過ごせそうでした。
お食事はオホーツクバイキング、創作フレンチ、創作和食の中からお好みで選ぶことができます。どれを選んでも、地元の食材にこだわったお料理、オホーツクの山海の幸を活かした旬の味覚が楽しめます。
バイキングレストラン「COTA」でいただくビュッフェスタイルのオホーツクバイキングでは、旬のオホーツクの山海の幸を活かしたお料理を堪能。ホタテやサーモンなどの新鮮なお刺身、地元産の新鮮な野菜を使ったお料理など、約70品のオホーツクバイキングならではのメニューが並びます。
「レストラン灯々(とうとう)」でいただける創作フレンチは、厳選された食材を活かした美食の晩餐。自由な発想で創り出された「オホーツクフレンチ」をワインとともにお楽しみください。
創作和食は美しく盛り付けられた美味の数々。味はもちろん美しい盛り付けで、四季折々のオホーツクの味覚を満喫できる和食会席は「北天の丘 あばしり湖鶴雅リゾート」ならではのお料理です。
レストランの各所にはアイヌ文様が入ったパーテーションを設置といった感染防止対策を実施中。安心安全に旬の味覚と多彩なお料理が楽しめます。
大浴場の「北天 坐忘の湯」は効能豊かな自家源泉のお湯。泉質はアルカリ性単純温泉で神経痛や筋肉痛、疲労回復、冷え性などに効能があります。山々に囲まれた露天風呂に入れば、多忙な日常のことなど忘れてしまうでしょう。マッサージコーナー「星の音」では、湯上りの体をさらに揉みほぐすマッサージもうけられます。
北方民族のテント住居をイメージした「火焔の塔」は、中に入ると無料の足湯が。日が暮れはじめると火が焚かれ、幻想的な空間を作りだします。
さらに、北方民族の住居をイメージした八角形の屋根が特徴的な外観のエステ棟のスパトリートメント「ファウラ」では、オイルの香りとマッサージの相乗効果で新陳代謝や血行を良好にして、リラクゼーション効果も抜群なアロマオイルトリートメントも楽しめます。
網走湖周辺の旅の楽しみといえば、四季を通じて楽しめる多彩なアクティビティ。春はホテルの近くにある水芭蕉の大群落の散策、夏は網走湖と網走川でのカヌーツアーやE-バイクをレンタルしてのサイクリング、秋は網走川サケの遡上&いくら工場・醤油蔵見学&握り寿司体験、冬は結氷した網走湖でのワカサギ釣りやスノーモービルなどお楽しみが満載です。
「北天の丘 あばしり湖鶴雅リゾート」1階のフロント近くにある「鶴雅アドベンチャーベースSIRI」は、アクティビティカウンターも兼ねたアウトドアショップ。店内にはノースフェイスやマムート、カリマーなどのアウトドアウエアやグッズが並び、ショップのみのご利用も可能です。車でお越しの場合は、世界自然遺産の知床や阿寒摩周国立公園も日帰り圏内。「北天の丘 あばしり湖鶴雅リゾート」を拠点として、東北海道の大自然を巡ることができます。
「当ホテルでは人との出会いや地元の方とのつながりといった、今の『地の物語』も大切にしています。観光関連の業種の方はもちろんのこと、漁業者さんや農家さん、水産加工会社の方とも連携して、網走の魅力を発信していければと考えています。お客さまにはさまざまな角度から網走の魅力を感じていただきたい。そして、再びこの地を訪れていただければ、うれしいですね」と清水支配人。その言葉からは網走への愛着とおもてなしの心が強く感じられました。
炎が揺らめく幻想的なメインラウンジやオホーツク文化の文様をしつらえたお部屋、地元の新鮮な海鮮料理など、ほかに類のない空間と味覚が楽しめる「北天の丘 あばしり湖 鶴雅リゾート」は、いつもの日常とは違う時の流れを感じさせてくれるホテルでした。
遥か昔のオホーツク人たちの営みに思いを馳せながら、くつろいだ時間が過ごせる「北天の丘 あばしり湖鶴雅リゾート」に宿泊して、古代オホーツクから現代の網走へと連なる時空を超えた一夜を過ごしてみませんか。
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施設名
北天の丘 あばしり湖鶴雅リゾート
住所
北海道網走市呼人159番地
電話番号
0152-48-3211
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
北海道支部 フリーライター・編集者
桑原 雅彦
フリーライター、エディター。大学生の時にバイクツーリングで訪れた北の大地に魅せられ、1994年、生まれ育った大阪市から北海道網走市に移住。道内各市町村の観光パンフレットや町勢要覧など、印刷物の制作を主に担当。生産者の方々の熱い想いや、商品の背景にあるストーリーの数々をお伝えしていきたいです。