京都府京丹後市

海の京都・京丹後で自然と美食を巡る旅

2021.02.07

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京都でここ数年にわかに話題になっているエリアがあります。それが京都府北部の「海の京都」。なかでも兵庫県と隣接する京丹後には、日本海沿岸の自然美と温泉、とっておきの海の幸があり、足を伸ばす価値があります。 京都駅から車か高速バスに乗り、京都府を縦貫する国道478号線で宮津市を経由すれば、京丹後には約2時間半で到着。京都市内の歴史情緒あふれる趣とはひと味違う、海と山の恵みあふれる京都の魅力を探しに出かけましょう。

おすすめモデルコース

1日目

  14:00 「丹後エクスペリエンス」のe-Bikeガイドツアー

京丹後に着いたらまずおすすめしたいのが、e-Bikeのガイドツアーです。e-Bikeとは電動アシスト自転車のなかでも、スポーツ用に開発された高性能のもの。身長140cmから乗車できるタイプや、未就学児を乗せて走れるチャイルドシート付きのモデルも借りられます。京丹後の風景や文化を五感で楽しむのにぴったりの体験型ツアーは、京都丹後鉄道夕日ヶ浦木津温泉駅前からスタートします。

いわゆる「電動ママチャリ」と比べると、アップダウンの激しい山道でも楽に登れるので、日本海からの風を感じ、海沿いの暮らしに目を向ける余裕が生まれます。歩くより遥かに遠くまで移動できて、ドライブよりもじっくり土地を感じられるのがe-Bikeツアーのいいところです。山陰海岸ジオパークを構成する五色浜では、圧倒的な自然の力を感じられることでしょう。

ガイドを務める八隅孝治(やすみこうじ)さんは、京都市で生まれ育ち、京丹後で地域おこし協力隊員を務める移住者です。京丹後市を訪れ、地元の人が見過ごしてしまいがちな、昔からそこにある風景や自然、おいしい食事とお酒、温かい人にひきつけられて移住への思いを募らせ、1年前に引っ越してきました。

ツアーでは丹後ちりめんの製造風景を見学したり、道行く人に話しかけたりしながら、京丹後に住んでいるような時間が過ごせます。派手な観光スポットは“なんにもない”けれど、“なんでもない”ことがたまらなく魅力的だという八隅さんは、京丹後を訪れる人にその飾らない姿を伝え、この土地を好きになってもらいたいと願います。

  16:30 ビーチブランコ「ゆらり」から夕陽を眺める

ツアーの最後は夕日ヶ浦海岸に引き返し、ビーチブランコ「ゆらり」で夕景をバックに写真をぱちり。たとえすっきりと晴れていなくても、垂れ込めた雲の隙間からくれないの強い光が差し込み、西の空を染め上げていきます。灰色の雲とは対照的な鮮やかな色に目が奪われます。

この近くには天然温泉施設があり、カップルや友人同士だけでなく家族連れにも人気のスポットです。地元の観光協会がビーチに流れ着いたロープや流木を使って組み上げたブランコに腰かけ、沈みゆく夕日を見つめていると、時が経つのを忘れてしまいます。

ゴール付近では八隅さんおすすめのスイーツを購入することもできます。砂丘で採れたサツマイモのアイスや、地元で粉から製造されたタピオカが好評です。冬季は日本海側特有の冷たい雨や雪が降ることが多い京丹後ですが、e-Bikeツアーは寒空の下でもできるだけ希望に応じて開催しています。冬ならではの荒い白波は迫力満点ですよ。

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施設名

丹後エクスペリエンス

住所

京都府京丹後市網野町浅茂川1846-1 A号室

電話番号

070-4491-6352

営業時間

9:00~18:00

休業日

不定休

 

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

  18:00 料理旅館「てり吉」で松葉ガニ尽くしの夕食

適度な運動でおなかがすいたら、網野町の料理旅館「てり吉(てりきち)」に移動して、夕食をいただきます。お目当てはもちろん、タグ(漁連鑑札)付きの松葉ガニ(毎年11月6日から翌年3月20日までの漁期に山陰地方で水揚げされるズワイガニ)。特に網野町の浅茂川漁港や丹後町の間人(たいざ)漁港では、日帰り操業の底引き船から生きたままのカニが水揚げされるため、身が詰まったカニの濃厚な甘味が楽しめます。

てり吉の主人はセリの仲買人でもある齊藤修司さんです。地場の活ガニ料理を追究し、鋭い目利きで選び抜いた松葉ガニを最適な環境のいけすに入れ、最高の状態で提供することにこだわっています。必ずいただきたいのは、客が席についてからさばかれる「踊りカニ刺し」。雪のように透き通った上品な白い身は、まさに地場でしか味わうことができません。

当日の朝締めて湯がいたカニ(湯ガニ)は脚の肉がぷりぷりで、カニ味噌には深いコクがあります。そのほか、炭火焼き蟹・蟹味噌甲羅焼きもおすすめです。しゃぶしゃぶカニすき大鍋であれば、シメにカニ味噌雑炊をいただき、これ以上ないほどのごちそうは幕を閉じます。

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施設名

料理旅館「てり吉」

住所

京都府京丹後市網野町浅茂川1861-13 

電話番号

0772-72-0308

営業時間

11:00~14:00、18:00~21:30(要予約)

 

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

  20:30 HOTELHOLIDAYHOMEで暮らすように泊まる

この日のお宿は、久美浜湾に面したかぶと山公園内にあるHOTEL HOLIDAY HOME(ホテルホリデーホーム)。山と海にすっぽりと包み込まれたような立地と、ほっと一息つける心地よさが自慢の、全6室のホテルです。まるで絵本の世界に迷い込んだかのような英国風の石垣は、スタッフによる手積みというから驚きです。

2階建て一軒家タイプのスーペリア・スイートは、最大6名まで宿泊できて、家族や友人と思い思いにくつろぐことができておすすめです。薪ストーブを炊いて体を温めたり、デッキに出て静かな海を眺めたり......。心が満たされていくのを感じます。

フロントや客室の快適さの秘密は、インテリアや日用品、アメニティなどの細部に至るまでこだわりの品が集められていることです。ハンス・ウェグナーのソファに、ジョージ・ナカシマのチェア、ベルギーのリネンのシーツ、オリジナルのパジャマ、アンティークの照明器具など、毎日の暮らしに取り入れたいアイテムとアイデアが散りばめられています。

それもそのはず。 HOLIDAY HOMEを手がけるのは、神戸に拠点を置き、服や雑貨を扱うショップの「Bshop(ビショップ)」なのだそう。「エブリデイ・クラシック」を提案し、シンプルな服と飽きのこない日用品の品ぞろえに定評があります。景色に魅了されたこの地に物流倉庫を開いたことからホテル構想が始まり、2003年の開業以来、自然豊かな久美浜の魅力を多くの人に伝えています。

2日目

  8:00 地場食材を使ったブレックファストで朝を迎える

早起きしてホテル内の雑木林を散策したら、お待ちかねの朝食の時間です。ホテル内のレストラン「Reception Garden(レセプションガーデン)」は開放的で、ときには大きな窓から雪景色を楽しめることも。

朝食には京丹後のおいしいものが少しずつセレクトされています。たとえば、平林乳業のミルクとヨーグルト。ニホンミツバチのはちみつも丹後の味です。ココット、オムレツ、目玉焼きから選べる卵料理や、地元農家の採れたて野菜を使ったサラダもあります。

京丹後の食材を生かした一品一品が丁寧に調理され、特別珍しい一皿があるわけではないのに、質の良さがじんわり伝わる朝食だと感じます。

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施設名

HOTEL HOLIDAY HOME

住所

京都府京丹後市久美浜町向磯2575

電話番号

0772-83-3131 (10:00~21:00)

営業時間

チェックイン 15:00~18:00、チェックアウト 11:00

休業日

無休

 

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

  11:00 かぶと山展望台からの絶景で旅の締めくくり

チェックアウトを済ませたら、「海の京都」らしい絶景で旅を終えましょう。HOTEL HOLIDAY HOMEから歩いてすぐの「かぶと山登山道入口」から、標高191.7mの山に登ります。少し険しい道のりですが、整備されたコースを20分ほど登れば山頂展望台に着きます。

晴れた日にそこから一望できる久美浜湾の絶景は圧巻!自然を満喫する京丹後の旅の終点地にふさわしいスポットです。久美浜湾と日本海の間には「小天橋(しょうてんきょう)」と呼ばれる砂州が横たわり、青松が美しく連なっています。かきの養殖いかだが浮かぶ様子は久美浜湾の冬の風物詩で、おいしいものを食べたばかりなのに、またお腹がすいてしまいそうです。

冬の京丹後の天候は変わりやすく、地元では「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほどです。すっきりと晴れる日は珍しいかもしれませんが、豪快な荒波や雪景色、松葉ガニや牡蠣などの極上の食材に出会えるのはこの季節だけ。思いっきり海の京都を楽しみたいですね。

地域ナビゲーター

堀 まどか

近畿支部 翻訳・通訳案内士
堀 まどか

兵庫県生まれ、在住。阪神間の街と海と山の近さがお気に入り。通訳案内士(英語ガイド)として、また、地域と観光を切り口にしたフォトライターとして西日本のおもしろさを伝えています。好奇心さえあれば、地域の魅力をまだまだ発見できるはず。