大分県別府市

幸せをもたらす老舗洋食店の「とり天定食」

2021.06.26

この記事では、日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介します。
今回スポットをご紹介いただいたのは、大分県別府市の「べっぷの宿 ホテル白菊」で接客支配人を務める安部洋二郎さんです。

別府の老舗旅館で教えてもらった「行きつけの食事処」

源泉数・湧出量ともに日本一を誇る温泉地、別府。温泉めぐりの旅の拠点にぴったりな、別府駅から徒歩8分の場所にある「べっぷの宿 ホテル白菊」は、しっとりとした肌ざわりの “美人湯”と称される名湯が楽しめる宿です。

ホテル白菊の接客支配人を務める安部洋二郎さんに「100年先に残したいもの」を聞いてみたところ、「レストランリボン」のとり天定食のことを話してくれました。なんでも、お客さまから「あなたの行きつけの食事処を教えてほしい」とたずねられたときにお伝えするお店なんだとか。

「とにかくおなかが空いて、満たされたい時に足を運びます。メニューも豊富なので、行くたびにいろいろと選ぶのが楽しみなんです」とのこと。安部さんにとって学生時代から胃袋を支えてくれている、なくてはならない存在だというレストランリボンへ行ってみることにしました。

昭和レトロな雰囲気漂う佇まい

大分市街地から国道10号を車で約25分。餅ヶ浜(もちがはま)から別府湾を背にして中部中学校通りを上ると、坂の途中にレトロな看板が見えてきます。取材を約束していたのは平日の14時半。ランチのお客さんが落ち着く時間かと思いきや、まだまだ駐車場がいっぱいなことに驚きました。

入口のガラスケースには食品サンプルが並びます。色褪せたところがまたなんとも愛おしい!

レストランリボンは、別府の小さな洋食店として1958年に創業し、今年で63年を迎えました。ドアを開けるとチリンチリンとベルが鳴り、扉の向こうはノスタルジックな純喫茶のような空間が広がります。BGMにクラシックが流れ、カウンターのコーヒーメーカーがいい雰囲気で、昭和の頃にタイムスリップしたかのようです。

席に通され、メニューを見て再びびっくり。ミックスグリル、ハンバーグ、豊後牛ステーキといったいわゆる“洋食屋さん”のメニューから、焼きめし、あんかけ焼きそばなど、なんと種類の多いこと!

メニューを眺めていると、リボンの社長の妻、吉良明美さんが声をかけてくれました。「昔からの常連さんはハヤシライスやオムライスあたりの定番を頼む方が多いですよ。最近は息子が考えて新しいメニューも増えていて」。厨房を取りまとめる明美さんの息子さんがメニューに加えた、とんかつ・魚フライ・エビフライののった、ボリューム満点なミックスフライセットは特に若い世代の男性に人気のメニューです。

ふわふわ、さっくり、絶妙な食感がたまらない!

ホテル白菊の安部さんおすすめ、とり天定食を注文。
“とり天”とは、鶏肉に下味をつけ、衣をつけてたっぷりの油で揚げる、大分県の郷土料理。要するに、鶏の天ぷらですね。「今から揚げますので、少しお待ちくださいね」。明美さんがそう声をかけ、10分ほどで運んできてくれました。揚げたてのいい香りとともに目に飛び込んできたのは、お皿に高く積みあがったとり天とご飯のボリューム感!そして具だくさんのお味噌汁やたくさんの小鉢が並ぶのも嬉しくなります。

とり天は、箸で持ち上げただけで衣がふわふわなのがすぐわかりました。ほおばると歯ざわりはさっくり、鶏の胸肉はやわらかく、ほどけるような食感です。ポン酢にたっぷりと入ったおろしショウガが食欲をそそり、さらにさっぱりした口当たりになるのでとり天をどんどん口に運んでしまいます。一見、全部食べられるのか少し不安になる量だったのですが、想像以上の軽さで、あっという間に完食です。

ご飯は大分県豊後大野市の無農薬米を使用。つやつやで程よい粘り気があり、噛むほどに甘味を感じます。添えられた新鮮な野菜サラダには、ちょうどいい酸味の手づくりのドレッシング。味噌汁はカツオと昆布の出汁がよく出ていて香りも高く風味豊か。とり天のおいしさを際立たせるような定食全体の絶妙なバランスに、食べながら感動しっぱなしなのでした。

とり天を自分でつくると衣をからっと揚げるのが難しく、胸肉はパサパサになるので、自宅で揚げるのは敬遠しがち。「衣には小麦粉のほかに米粉や片栗粉も混ぜ、その配合がポイントなんですよ。フライヤーではなくフライパンで揚げます。油もその都度変え、酸化しないようにしています。だって、そのほうがおいしいから」と明美さんが教えてくれました。
デミグラスソースやドレッシング、タルタルソースもすべて手づくりで、ポテトサラダもじゃがいもを茹でてつぶし、丁寧に下ごしらえをしたもの。基本的には添加物の入っているものは使わないなど、リボンのメニューすべてにおいて仕込みから妥協しません。「リボンだったら安心して食べられる、とお客さまも言ってくれます。私も、自分の子どもや孫に食べさせられるものを、お客さまに食べてもらいたいので」。大切な人に食べてもらいたい、そのためには手間暇を惜しまないのが、昔から変わらない味を保ち続けている理由の一つなのです。

「また来るね」の笑顔のために

「お客さまのほとんどの方が子どもの頃から家族で通ってくれて、大人になってまたその子どもを連れて来てくれるんです。みなさんが“おいしかった”と満足して帰ってくれるのが一番の喜びです」。県外から帰省して大分空港からそのまま来たよ、と訪れる人もいるとのこと。ホテル白菊の安部さんも、高校時代から通うこのリボンに、今でも月に何度か通い、家族とも一緒に訪れているといいます。

「今日もいい一日だったね、そんな気持ちで帰ってもらえるようにお店から送り出したい」と語る明美さん。地元の人たちにとっても、レストランリボンの存在と味が何にも代えがたい心の拠り所となっています。これからもずっとその味を守り、世代を超えてたくさんの人に幸せを運び、愛され続けることでしょう。温かな心があふれるレストランリボンへ、ぜひ「おかえりなさい」。

施設情報はこちら

施設名
レストランリボン

住所
大分県別府市石垣西2丁目1−35

電話番号
0977-22-1259

営業時間
平日 ランチ11:00~16:00(L.O.15:15)、ディナー17:00~22:00(L.O.21:15)
土・日 11:00~23:00


休業日
不定休

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

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お客さまのオンリーワンのコンシェルジュに
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地域ナビゲーター

牧 亜希子

九州支部 ふるさと大分の魅力案内人
牧 亜希子

大分県大分市出身、在住。大分県各地の魅力をデザインや言葉、写真を介して伝えることを生業に長年携わってきました。プランナー・ライターとして自分がいいなと思った直感を信じて「大分ならでは」「大分だからこそ」を表現し、愛するふるさとを編集し続けていきたいです。