
山梨県富士河口湖町
2021.06.19
この記事では、日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介します。
今回スポットをご紹介いただいたのは「古代オホーツク浪漫の旅」をコンセプトとした北海道網走市のホテル「北天の丘 あばしり湖 鶴雅リゾート」の清水勇男支配人です。
北海道網走市はオホーツク海に面する人口約3万5千人のまち。主幹産業は豊かな自然からの恵みを活かした農業と漁業、そして観光産業です。
網走の海の玄関口、網走港に浮かぶ帽子岩は、このまちのシンボルのひとつ。帽子を伏せたような形をした高さ約40メートルの岩は、網走のランドマークになっています。
「網走の街並みの向こうにオホーツク海が見えて、そのバックに知床連山がそびえ立つ。天都山展望台から見える絶景は、人と自然の調和がとれた素晴らしいものだと思います」。展望台からの景色を「100年先に残したいもの」として紹介してくださったたのは、リゾートホテル「北天の丘 あばしり湖 鶴雅リゾート」の清水勇男(しみず・いさお)支配人。
「古代オホーツク浪漫の旅」をコンセプトとした「北天の丘 あばしり湖 鶴雅リゾート」の館内には、幻の民と呼ばれるオホーツク人の竪穴住居をモチーフにした暖炉のあるラウンジ、オホーツク文化の文様を各所にあしらった客室などがあり、地元の旬の味覚が満載のオホーツクバイキングが人気です。
網走市の市街地の南西に位置する天都山は、標高207メートルの小高い山。ここから見える風景が「天の都に昇るような心地にさせるほど美しい」と称されたことから、その名が付いた天都山は、1938年に国の名勝に指定された歴史ある観光スポットで、網走国定公園に属しています。
その山頂にある「オホーツク流氷館」の3階に設けられた展望テラスが「天都山展望台」です。
「天都山展望台」からの風景は、すべてが絶景。360度の大パノラマが楽しめます。展望台からは網走の街並みやオホーツク海と知床連山を見渡すことができ、海側に向けた体をクルリと反転させると、網走川の大きな蛇行の向こうに能取湖が姿を現します。他にも網走湖やトーフツ湖、藻琴湖といった網走に点在する湖、斜里岳や阿寒の山々、晴れ渡った日には遥か遠くの大雪山も望むことができます。
これまで全国各地にある展望台に立ち寄ってきましたが、これほど多くの自然の要素を一望にできる展望台はないでしょう。他に類ない絶景が、80年以上も前に天都山が国の名勝に指定された理由です。
「天都山は勤務しているホテルから車で15分ほどの場所にあるので、近くを通った際は立ち寄るようにしています。春は桜と残雪の知床連山、夏は緑に覆われた網走湖や能取湖、秋は紅葉の網走、冬は流氷のオホーツク海と四季を通じて変化に富んだ風景が見られる天都山は網走随一、北海道の中でも指折りの絶景スポットだと思います」と清水支配人。特に流氷明け直後の初春の風景がお好きだそうです。
「流氷が沖合に去っていくと、網走に遅い春が訪れます。まだ流氷の残るオホーツク海には毛ガニ漁の漁船が出航し、雪のある白い畑でも融雪剤をまくトラクターが動き始めます。長かった冬に貯えた力を一気に放出するかのような、春先の天都山展望台からの光景は躍動感に満ちています」
四季折々の絶景が楽しめる「天都山展望台」に併設される「オホーツク流氷館」は、訪れたなら是非あわせて足を運んでほしいスポット。2015年にリニューアルされ、以前にも増して流氷について五感で学び、楽しめるようになりました。
「オホーツク流氷館」は映像やパネルなどで、様々な角度から流氷について学べる観光施設。一番の目玉となる展示は、マイナス15℃に保たれた室内で、真夏でも本物の流氷を見て触れることのできる「流氷体感テラス」です。
「流氷体感テラスに展示している流氷の総重量は約100トン。常にきれいな流氷を見てもらえるように、毎年春先に入れ替えています。ここでは濡れたタオルをグルグル回して凍らせる『しばれ実験』も体験できますよ」とオホーツク流氷館の目黒浩(めぐろ・ひろし)統括部長は話します。
流氷体感テラスの他にも、館内には流氷を知るために趣向を凝らしてた様々な展示があります。流氷をイメージした立体的な壁一面に、クリオネやアザラシも登場するアニメーションを展開するプロジェクションマッピング、総数400インチの5面スクリーンによって、大迫力の流氷の映像が視界のすべてに広がる流氷幻想シアター、流氷誕生のメカニズムを分かりやすく解説する展示コーナーなど、流氷の世界を多角的に楽しめます。
「オホーツク流氷館」では、流氷の天使とも呼ばれるクリオネを常設展示。本来なら流氷の時期にしか見ることのできないクリオネが愛らしく泳ぐ姿には、思わず目を奪われます。
その他にも、強面ながらも可愛らしいオオカミウオの稚魚やフウセンウオなど、オホーツク海の不思議で珍しい生き物も飼育展示されています。
オホーツク流氷館に入館したら、忘れてはいけないものがもうひとつあります。それはオホーツク海の塩をトッピングした流氷ソフトクリーム!
網走のジェラートの名店「Rimo(リモ)」とのコラボレーションによる、流氷ソフトクリームは塩キャラメル味。流氷をイメージさせる青い塩が甘いキャラメル味を引き立てるソフトークリームは、オホーツク流氷館でしか味わうことのできない絶品スイーツです。
取材の最後に「オホーツク流氷館」の目黒統括部長にも「天都山展望台」からのお好きな風景をたずねてみました。
「四季折々に美しく変化する展望台からの風景はどれも素晴らしいですが、あえて選ぶなら桜の時期でしょうか。天都山は網走の桜の名所の一つですが、満開の桜の花の向こうにオホーツクブルーに染まる海、残雪の残る知床連山が見える風景は、まさに絶景だと思います」
天都山展望台から見られる風景は、流氷と並ぶ網走の宝。ぜひ展望台からの風景を眺め、本物の流氷にふれて、360度の大パノラマと幻想的な流氷の世界をお楽しみください。
施設情報はこちら
施設名
オホーツク流氷館
※3階の天都山展望台(展望テラス)は入場無料
住所 北海道網走市天都山244番地の3
開館時間
・5月~10月 8:30~18:00(最終入館17:30)
・11月~4月 9:00~16:30(最終入館16:00)
・12月29日~1月5日 10:00~15:00(最終入館14:30)
定休日 なし
TEL 0152-43-5951
※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。
北海道支部 フリーライター・編集者
桑原 雅彦
フリーライター、エディター。大学生の時にバイクツーリングで訪れた北の大地に魅せられ、1994年、生まれ育った大阪市から北海道網走市に移住。道内各市町村の観光パンフレットや町勢要覧など、印刷物の制作を主に担当。生産者の方々の熱い想いや、商品の背景にあるストーリーの数々をお伝えしていきたいです。