北海道網走市

畑の中を通る一本の道。網走の「感動の径」

2020.10.01

この記事では、日本各地のナビゲーターが、その土地に暮らす人たち(ふるさとLOVERS)からお聞きした「100年先に残したいもの」をご紹介します。
今回登場いただくのは、毛ガニをはじめとしたオホーツク海の海産物を扱う「牛渡水産」の牛渡貴士さんです。

オホーツク海に面して、どこまでも広がる丘

オホーツク海に面した北海道網走市の郊外には、海岸段丘による丘陵地帯が広がっています。なだらかに起伏しながら、どこまでも続く丘では畑作が盛んに行われ、主にジャガイモ、小麦、てんさい(別名はビート、砂糖大根。砂糖の原料となる作物)が栽培されています。

また、ビールの原料となる二条大麦の畑も多く、そのすべてがサッポロビールとの契約栽培によるもの。今日、あなたが飲んだビールには、網走産の大麦が使われていたかもしれませんよ。

今回、毛ガニをはじめとしたオホーツク海の海産物を扱う牛渡水産の牛渡貴士さんが「100年後まで残したい場所」として紹介してくれたのは、網走郊外の丘に広がる畑のど真ん中を通る「感動の径(みち)」。この道路沿いでは、北海道の田園風景の名所として知られる富良野や美瑛とは趣の異なる畑の風景が見られ、訪れる人々の目を楽しませています。

花畑に黄金色の穂、四季折々に姿を変えて

オホーツク海を左手に見ながら、国道244号線を車で網走市街から斜里町方面に進み、JR鱒浦駅を過ぎると、道路脇に「感動の径」という標識が見えてきます。その標識に沿って、国道を右折、JR釧網線の踏切を渡ると「感動の径」の入り口。その名の通り、感動的な畑の風景が連続する絶景スポットです。

「感動の径」の両側には広大な畑が広がり、四季折々に美しい田園風景が見られます。

春は作物を植え付ける前の畑の向こうに広がる残雪の知床半島と斜里岳が美しく、初夏には畑一面に咲くジャガイモの花がフォトジェニックです。7月下旬には、収穫直前の小麦畑で麦の穂が黄金色に輝きながら風に揺れる様子が見られます。秋の収穫後の畑には、緑肥としてヒマワリやキカラシが植えられ、季節外れのお花畑が出現することも。そして、冬には雪によって一面の銀世界となった畑の向こうに、流氷の海が広がります。

畑の向こうに知床半島が見えるのは、北海道でもココだけ

「感動の径」の中で、特におすすめなのは、畑の丘の向こうにオホーツク海と知床半島が見える風景です。このような光景は、北海道の中でも「感動の径」の周辺だけで見られるもので、必ず立ち寄ってほしいのが「感動の径」の中間地点ぐらいにある「ビューポイントパーキング」です。「知床連山が美しく見える丘・豊郷」と書かれた案内板の向こうには、畑と山々、オホーツク海が織りなす絶景が見られます。

網走湖を見下ろす丘は、花の名所

「感動の径」周辺には、畑の風景以外に花の名所もあります。

網走市呼人地区の網走湖が見下ろせる丘陵地にある「フロックス公園」は、広大な敷地の中に約15万株ものフロックスが咲き乱れる花の公園。7月下旬から開花するフロックスは赤や紫、ピンクなどの色鮮やかな花を咲かせ、8月中旬に一番の見ごろを迎えます。

もう一つの花の名所が、フラワーガーデン「はな・てんと」です。市民ボランティアによって大切に育てられた花々は、マリーゴールドやサルビア、ベゴニアなどで「網走レイクビュースキー場」のゲレンデ一面が、カラフルなお花畑に変身します。花々の見ごろは8月上旬から10月上旬ごろまで続きます。

「感動の径」から、ぜひ寄り道をして、色鮮やかに咲き誇る花々の風景も楽しんでください。

地元産の牛乳を使ったジェラート

「感動の径」の終点、網走市呼人の国道39号線との交差点のすぐ横にあるのが、地元でも大人気のジェラートのお店「Rimo」。60種類以上あるジェラートのフレーバーの中から選ばれた「本日のジェラート」が並ぶショーケースの前では「どれにしようか」と迷う人の姿もよく見かけます。網走市の「100年後まで残したい場所」を紹介してくれた牛渡さんの友人でもある高田聡さんが、地元網走産の牛乳を使って作りあげたジェラートは「感動の径」の最後を締めくくるにふさわしい、絶品のおいしさです。

「Rimo」のある天都山エリアは「天空の里」とも呼ばれ、博物館やおしゃれなカフェ、そばの名店などが点在する網走最先端の観光スポット。畑の絶景の後は、網走ならではの名所や味覚をお楽しみください。

自分だけの畑の風景が、きっと見つかる「感動の径」

なだらな丘に広がる畑の中を通る一本の道。ただそれだけの「感動の径」ですが、ここには素晴らしい畑の風景が無数にあります。連作障害を避けるために、畑で育てられる作物は毎年変わるので、同じ畑の風景が二度と見られないのも特徴です。

網走市をドライブする時は、国道を離れ「感動の径」を走って、自分だけの畑の風景を見つけてください。それは、かけがえのない旅の思い出になるはずです。

<今回の旅スポット>

感動の径ビューポイントパーキング
北海道網走市豊郷443
乗用車3台、大型バス2台が駐車可能
 
Rimo(りーも)
北海道網走市呼人418
夏季 10:00~18:00 / 冬季 10:00~16:00
不定休
0152-48-3053

※道の両側に広がる畑は、農家の皆様の大切な仕事の場です。路上に車を駐車する場合は、農作業の邪魔にならない場所に停めるようにしてください。また、写真を撮影する際、畑の中には立ち入らないようにお願いします。

※施設に属する情報に関しましては、予告なく変更となる可能性がございます。ご訪問の際は各施設のホームページ等で最新の情報をご確認いただきますようお願いいたします。

地域ナビゲーター

桑原 雅彦

北海道支部 フリーライター・編集者
桑原 雅彦

フリーライター、エディター。大学生の時にバイクツーリングで訪れた北の大地に魅せられ、1994年、生まれ育った大阪市から北海道網走市に移住。道内各市町村の観光パンフレットや町勢要覧など、印刷物の制作を主に担当。生産者の方々の熱い想いや、商品の背景にあるストーリーの数々をお伝えしていきたいです。